加熱されたカテキンはコレステロール吸収を抑えてくれる

 茶カテキンが4種類存在する、ということがおわかりいただけたかと思います。そしてこのカテキンは、加熱されると化学変化を起こします。この変化もまたカテキンならではの特徴と言ってよいでしょう。

 缶やペットボトルといった緑茶飲料を製造する際には、腐敗を防ぎ緑茶の品質を保つ必要があります。そこで行うのが加熱殺菌処理です。この加熱殺菌処理によって、カテキンの化学構造の一部が形状を変えます。とはいえ加熱処理前の成分がすべて変わるわけではありません。そのため、缶やペットボトルの緑茶飲料には8種類のカテキンが存在することになります。

 またエピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、カテキンガレート、ガロカテキンガレートの4種類のカテキンはその名の通り「ガレート基」が付いていることから、「ガレート型カテキン」と呼ばれます。さらに、これらの中で加熱によって変化したカテキンガレートとガロカテキンガレートを「熱処理ガレート型カテキン」と呼び、特にコレステロールの吸収を抑える働きが強いことが明らかになっています。現在、ガレート型カテキンが配合されたペットボトル緑茶が販売されているのも、こうした効果を狙ったものです。

なぜ緑茶は「渋み」だけでなく「旨み」もあるのか

 緑茶の中で3番目に多い成分が「テアニン」です。カテキンが渋み成分であるのに対し、テアニンは「旨み」成分です。この旨み成分であるテアニンはアミノ酸の一種で、緑茶の茶葉中に乾燥重量比で0.5~3%程度含まれています。

 ちなみに、茶葉にはアミノ酸類が1~4%程度含まれており、テアニンのほかにも、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸などが含まれています。「緑茶にアミノ酸が入っているの?」と不思議に思われる方もいらっしゃるかもしれません。たしかに、アミノ酸を単独でなめてみても決して美味しいものではありません。中には、アルギニンのように苦みを感じさせるものもあります。