金融庁の専門家が「分散型金融」を徹底解説!規制監督上の懸念&課題とはPhoto:PIXTA
*本記事はきんざいOnlineからの転載です。

 本連載では、分散型金融のもたらすイノベーションの可能性とリスクについて、当局者としての視点も織り交ぜつつリレー解説を行っている。第3回では、分散型金融について各国当局者はどのような点を課題と考えているのか、各国当局者が議論を交わす国際組織の報告書を取り上げつつ紹介したい。

FSB報告書が指摘する
急速な市場拡大

 金融分野における国際的な議論を行う場の中でも、G20では分散型金融やサステナブルファイナンス、クロスボーダー決済の改善、金融包摂など幅広いテーマで議論が行われている。G20の指示に基づいて、金融システムの安定の観点から具体的な取り組みを行うのが金融安定理事会(FSB)であり、前述のさまざまなトピックに関する報告書などを取りまとめている。

 今回は、FSBが2022年2月に公表した「暗号資産の金融安定に対するリスクの評価」(以下、FSB報告書)で示された分散型金融の規制監督上の懸念や課題について紹介していきたい。