実践する経営者
ダイヤモンド社刊
1800円(税別)

 「あらゆる先進国が100年以上前から従業員社会と組織社会に向かってきた。この流れが方向を変えた。働く者と組織の関係、そして組織と組織との関係において急速にネットワーク社会に向かいつつある」(『実践する経営者』)

 高学歴者のほとんどが組織で働く。しかしその多くは、現在働いている組織の従業員ではない。アウトソーシング先の社員であり、派遣社員であり、パートタイマーである。

 組織と組織の関係も変わりつつある。誰の手にも主導権がない対等の提携関係、すなわちパートナーシップが増大している。

 よい例がアウトソーシングである。ますます多くの企業、病院、政府機関が、仕事をまるごと専門企業に委託している。まもなくほとんどの組織が、自らにとって主たる収益源でない支援的な業務、トップマネジメントへの道になっていない業務のすべてをアウトソーシングするようになる。

 アウトソーシングの受託者であれ、共同研究、技術提携、合弁事業の相手方であれ、パートナーシップに対して命令はできない。信頼を得ることしかできない。

 「正しい問いは、彼らは何をしたいか、彼らの目的は何か、彼らの価値は何か、彼らのスタイルは何かでなければならない。ここでもまた、必要とされているものがマーケティングの考え方である。マーケティングでは、製品ではなく顧客からスタートする」(『実践する経営者』)