韓国で45万部の超ロングセラーが発売から7年、いよいよ日本に上陸。韓国で社会現象を巻き起こした『勉強が面白くなる瞬間』。この本を読んで、学生の98.4%が「勉強をしたくなった」と証言! なぜ、勉強をしなかった人たちが勉強に夢中になるのか。10代~70代の世代を超えて多くの人が共感。そこにノウハウは一切ありません。ただ、この本を読んだ人にはわかることでしょう。執筆に8年かかったとされる『勉強が面白くなる瞬間』から、その驚くべき内容を紹介する。
今回は、記憶力日本一に6度輝いた『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』の著者である池田義博氏にインタビュー。『脳にまかせる勉強法』は、脳の編集力を最大限に利用した最強の記憶術。勉強の労力を2分の1以下にし、成果を2倍以上にする勉強法であり、何歳からでも使えるのが特徴。脳は何歳からでも鍛えられるのだ。『勉強が面白くなる瞬間』には、「21日の法則」など、習慣化する方法や集中力を身につける方法など書かれているが、『脳にまかせる勉強法』にも共通点がある。記憶力のスペシャリストに、本書の魅力をうかがった。

勉強が続かない人のやってはいけない目標設定Photo: Adobe Stock

マイナス系の目標設定が大事

勉強が続かない人のやってはいけない目標設定池田義博(いけだ・よしひろ)
一般社団法人記憶工学研究所 代表理事/所長、世界記憶力グランドマスター、ライフキネティック日本支部 アンバサダー、アクティブ・ブレイン協会 テクニカルディレクター
大学卒業後、エンジニアを経て学習塾を経営。2013年、塾で使用する教材のアイデアを探していたときに、記憶法(アクティブ・ブレイン)と出会い、脳の使い方を学ぶ。それ以降、人間のもつ脳力の可能性に興味を持ち、独自にさまざまな記憶法を極める。2013年、「日本記憶力選手権大会」に挑戦し、初出場で優勝し記憶力日本一となる。翌年から2019年大会まで、出場した6回すべてで連続優勝という前人未踏の快挙を達成(2016年は不参加)。また2013年には、ロンドンで開催された世界記憶力選手権において課題をすべてクリアし、日本人初の「記憶力グランドマスター」の称号を獲得。2021年、自らの体験をもとに記憶力・脳力開発の研究をすすめ、その普及のために一般社団法人記憶工学研究所を創設。著書、テレビ出演多数。著書に、『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる超集中術』(ともに、ダイヤモンド社)がある。

――『脳にまかせる勉強法』は、タイトル通り、脳というシェフに材料を与え、まかせて、勉強効率を上げる勉強法ですが、やる気やモチベーションを上げるためには、脳をどう生かすといいのでしょう。『勉強が面白くなる瞬間』では、習慣化するための「21日の法則」が紹介されていました。

 まず勉強には、大きく分けて2つの要素があります。「テクニック」「エンジン」です。

 勉強のテクニックがいくらあったとしても、基本的な土台となるエンジンがなければいけません。エンジンとは、「メンタル」や「心」、「モチベーション」ですね。

 エネルギーをいくら高められるかが、勉強に重要。勉強を成功させるには、「テクニック」の要素よりも、「エンジン」の要素が50%以上を占めているからです。

 きちんと土台をつくって、エネルギーを維持できるものがあれば、勉強はだいたい成功します。

『勉強が面白くなる瞬間』が売れているのは、直感的にエンジンを得られると感じて、そこに惹かれているからでしょう。

――一度、心に火がついても、やる気を維持するのは大変ですよね。

 多くの人が目標を設定しますが、たいがい「こうなったら、いいな」というものにしがちです。勉強した先に、「いい人生になったらいいな」と。つまり、「わくわく」を目標設定にしますが、それでは弱い。

『脳にまかせる勉強法』にも書きましたが、「これをやらなかったら、将来の私、どうなるんだろう」と、ネガティブに追い込まれる目標がいい。やらなかったことへの後悔を想像して、目標の設定をするのです。

 そうすれば、21日やったあとに習慣化できるという「21日の法則」につながっていきます。

 その日その日のモチベーションを高めるには、ただ待っていてもだめ。本来は、「とりあえず勉強を始める」。そして、「やる気が生まれる」ものですが、それができないから、皆さん悩んでしまう。

――著者もある日、将来を悲観して、スイッチが入ったように思います。

 そうですね。どちらかというと、マイナス系の目標設定が大事。私が記憶力日本一になったときもそうでした。

 40代なかばのころ、私には根拠のない自信がありましたが、それを証明するものがなかった。そこで、1年かけて記憶のトレーニングをして、「その結果、お前は何者なの?」という目標設定をしました。

 これ、こわいモチベーションの立て方でもあります。なぜなら、一生懸命やり続けた結果、「結局、何もないじゃん」と思われることもある。そこから逆算して、原動力にしていったのです。

 つまり、「こうなったら、いいな」ではなく、「自分がやらなかった場合、将来どうなるか?」という危機感を設定しました。これによって、脳が動くのです。

――たしかに、みな後悔しているアンケートがありました。

 人間、死ぬ間際に後悔するもの。「〇〇すればよかった」というものが多くて、そのなかでも、「勉強すればよかった」の後悔は多いですね。

 だからこそ、イメージ。タイムマシンに乗って、勉強をやらなかったときの未来の自分に会って、提案を受けるのがいい。それが自分を動かす原動力になるからです。

 結局、人間って、なまけもの。マイナスのエネルギーをつかったほうがいい。それが「21日の法則」を動かす原動力になり、1日においての原動力になります。

 自分を動かすエンジンが見つけることが必要ですね。

(取材・構成/編集部 武井康一郎)

(本原稿は書籍『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』をベースにした、インタビュー記事です)