韓国で45万部の超ロングセラーが発売から7年、いよいよ日本に上陸。韓国で社会現象を巻き起こした『勉強が面白くなる瞬間』。この本を読んで、学生の98.4%が「勉強をしたくなった」と証言! なぜ、勉強をしなかった人たちが勉強に夢中になるのか。10代~70代の世代を超えて多くの人が共感。そこにノウハウは一切ありません。ただ、この本を読んだ人にはわかることでしょう。執筆に8年かかったとされる『勉強が面白くなる瞬間』から、その驚くべき内容を紹介する。今回は、テレビで話題の『1分間瞬読ドリル』の著者である山中恵美子氏にインタビュー。『1分間瞬読ドリル』は、右脳でイメージし左脳で言語化する脳トレドリル。子どもから大人まで幅広い読者層に支えられ、ポジティブな思考に変わるのも特徴。『勉強が面白くなる瞬間』は、勉強=苦行というイメージが、まさにタイトル通りに変わるために必要なことが綴られている。『1分間瞬読ドリル』は答えを間違っても楽しい。笑いが生まれる。どことなく共通点がありそうだが、教育者の立場から、親の立場から、本書の魅力をうかがった。

脳の働きを利用して、行動を習慣化する方法Photo: Adobe Stock

脳はプラスにイメージできることを喜んで実現しようとする

脳の働きを利用して、行動を習慣化する方法

山中恵美子(やまなか・えみこ)
株式会社瞬読 代表取締役社長
株式会社ワイイーエス 代表取締役社長
1971年生まれ、甲南大学法学部卒業。大学在学中に日本珠算連盟講師資格取得。卒業後、関西テレビ放送株式会社に勤務。2003年、そろばん塾を開校し、5教室でのべ2000人以上を指導。2009年、学習塾を開校。グループ30校舎で約2万人の生徒を送り出す。現在は、学習塾を経営する傍ら、子どもからビジネスパーソン、経営者、シニア層までに瞬読を伝え、分速38万字で読める人を出すなど、これまで1万人以上に指導している。また、「瞬読開始3ヵ月後の模試で国語の偏差値が49から64に!」「1ランク上の高校に合格できた」「3年間、歯が立たなかった中小企業診断士の資格が1年でとれた」「英検1級、2回連続で不合格。瞬読をつかって約半年で合格!」など、勉強で成果を出している人が続出。テレビ「教えてもらう前と後」(MBS/TBS系)や「おはよう朝日です」(ABC)、雑誌「女性自身」など、多数のメディアに登場。著書に、『1冊3分で読めて、99%忘れない読書術 瞬読』(SBクリエイティブ)、『たった1分見るだけで頭がよくなる瞬読式勉強法』(ダイヤモンド社)がある。

――なぜ、『勉強が面白くなる瞬間』が韓国でベストセラーになったと思いますか?

 韓国も日本も考え方がいっしょ。いい学校に入ればいい就職先があると考えられていました。これまで、日本もモノを作れば売れる時代だった。買ってくれる人がいる。だから、給料が上がっていくのが当たり前だと。

 ただし、給料はこの20年間増えていません。大学に行けば食べていけるのか? リストラ、合併……そうではない。勉強して、いい就職先を見つけて、いい人生を迎える。それがぐらぐらしている。それに気づけたのが今。だから、この本が流行っていると思います。

「私たちが思っている勉強」と「これからの時代に必要な勉強」は真逆。これからの人生をよりよくしていくために勉強があり、そのためのマインドを指南しています

――考え方、通じているところはありますか?

「勉強本」というより、「自己啓発書」。読んでいて、共感する箇所が多く、自分の子育ても振り返りながら、母のことも今の仕事のことも考えながら読みました。

 全部のページに心に響くものがあって、大げさかもしれないけど、自分の人生を見つめなおす、人生を振り返るきっかけとなりました。いい言葉がちりばめられている名言集みたい。これは流行る、そう思いましたね。

――どういうところに惹かれましたか?

 韓国出身のシンガー、BoAさんのエピソードがありましたが、「自分で自分を騙さない」という箇所です。

 

歌手のBoAは練習生時代、毎日夜更けまでダンスの練習を欠かしませんでした。そして翌朝、起きたときに体の一部でも痛まない箇所があれば、「昨日の練習に何か問題があったのだろうか?」と反省する習慣があったそうです。それほど自分に厳しく、徹底的に練習したのです。それでも練習を苦痛に思ったり、やめて逃げたくなったりしたことは一度もなかったといいます。むしろダンスの先生が見ていないときほど、一層厳しく練習していたということです。

 最近、「自分に矢印を向ける」をテーマにしています。つらいことがあったとき、外に原因を探すのではなく、自分の心に聞いてみる。誰かのせいにするのではなく、自分で解決できたのではないか、と。

――BoAさんのエピソードで、「慎独(意味:周囲に誰もおらず一人でいるときも、人前にいるときと同様に気持ちを引き締めないといけない)」という言葉も出てきました。

「できる」と思うのが大切。決めるのは自分。「できない」と決めるのも自分ですから。

 やれないのは、やっていないだけ。限界を決めているのは、自分なんですよね。今、自分に課しているテーマと重なって、とても共感しました。

 あと、「21日の習慣」の話も腑に落ちました。習慣に関しては、「いやでもいいから続けてみよう」と、私も常々言っています。

 現在、朝活を続けています。朝6時から。それも毎日。正直言うと、最初の1、2週間は大変でした。けれども、目標を立てました。「365日続ける!」と。「日曜日、休もう」と思うと、頭がそう判断して、休むことを受け入れてしまう。だから、毎日!何が何でもやると決めたからには、たとえ一言もしゃべらなくても、その場所にいよう、と。

 21日間のエピソードはぜひ読んで、実践してもらいたいですね。

――「21日続ける」、脳にとってもいいのでしょうか?

『勉強が面白くなる瞬間』には、「ある行動を習慣にしたければ、とりあえず21日間、根気強く同じ行動を繰り返す必要があります。すると脳の方から『この人はこの行動を習慣にしたいんだな』と、その行動を受け入れるようになります。やっと脳が素直になり、主人の望む通りに動き始めるわけです」とありますが、まさにそうです。5分でいいから続ける。私の考えと近いですね。

『瞬読式勉強法』にも書きましたが、なにもできないのなら、「できること」から始めることです。まず「1ページ読んでみる」「ペンを持ってみる」、それだけでいい。

 脳はイメージできないことを拒否してしまいます。反対に、プラスにイメージできることは喜んで実現しようとします。

 プラスにイメージできれば、もう成功したも同然です。

――『勉強が面白くなる瞬間』には、姿勢を正すことも示唆していました。

「勉強する気がある子は、座る姿勢からして違います」と、ありましたね。

 私も、授業の最初と最後はきっちり姿勢を正して挨拶することを教えています。背中に持たれずに、きちんと。最初は、全部の時間は無理ですが、5分続けられたら、10分続ける。徐々に時間を長くすることです。

 一度に全部取り入れる必要はありません。自分にとって、いいなと思ったことを少しずつ取り入れる。できたら、時間を長めにとる。そうやって、脳に快を与えて、習慣にしていく。少しずつでいいです。何をするにも遅くはありませんから。

(取材・構成/編集部 武井康一郎)

(本原稿は書籍『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』をベースにした、インタビュー記事です)