韓国で45万部の超ロングセラーが発売から7年、いよいよ日本に上陸。韓国で社会現象を巻き起こした『勉強が面白くなる瞬間』。この本を読んで、学生の98.4%が「勉強をしたくなった」と証言! なぜ、勉強をしなかった人たちが勉強に夢中になるのか。10代~70代の世代を超えて多くの人が共感。そこにノウハウは一切ありません。ただ、この本を読んだ人にはわかることでしょう。執筆に8年かかったとされる『勉強が面白くなる瞬間』から、その驚くべき内容を紹介する。
今回は、ベストセラー『ずるい暗記術』の著者である佐藤大和氏にインタビュー。『ずるい暗記術』は、2015年発売の勉強法の本。日本で発売後、韓国で翻訳されて、たちまち電子書籍総合1位に。韓国で『ずるい暗記術』講演をしに、韓国へ渡った私たち2人は、韓国人の勉強に対する熱量をその場で感じました。あの熱量をそのままに感じる本書の魅力をうかがった。

「夢」や「目標」を達成していく「心のバイブル」Photo: Adobe Stock

人生を楽しく、後悔しないために

「夢」や「目標」を達成していく「心のバイブル」佐藤大和(さとう・やまと)
レイ法律事務所代表弁護士(東京弁護士会)
1983年生まれ。宮城県石巻市出身。高卒貧乏一家の長男として生まれる。小5まで九九を覚えられず、高校での模試はダントツのビリ。偏差値30の落ちこぼれが、2浪して三重大学人文学部に入学。大学生になってから勉強に目覚め、数ヵ月という短期間の独学で、当時難関だった立命館大学法科大学院法学既修者試験(2年コース)に合格。2009年大学院修了後、同年の司法試験に1回目で合格(民事系科目は上位5%以内で合格)。テレビのコメンテーター、ドラマの法律監修のほか、厚生労働省、文化庁の仕事にも携わるマルチ弁護士として活躍中。著書に、『ずるい暗記術 偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法』『ずるい勉強法 エリートを出し抜くたった1つの方法』(ともにダイヤモンド社)などがある。

――『ずるい暗記術』『勉強が面白くなる瞬間』、共通するところはありますか?

 私が大事にしていたことは、「夢」と「目標」をしっかり持つこと。

 この本も一緒です。

 また、夢は「途中で自分の考えが変わったり、自信がついたり、よいものを見たり、素敵な話を聞いたりするたびに変えてもいいのです。むしろ、何度も修正するたびに夢がよくなっていく場合も多いでしょう」と、あります。夢をブラッシュアップさせていく考え方も似ています。

「勉強したい。でも、点数がなかなか上がらない」という人が『ずるい暗記術』を読むなら、この本は、「勉強したくないなあ」と心が折れた人が読む本。

 そして、自分の弱さに気づかされる。「夢」や「目標」を設定したうえで、夢に向かって突き進む。気づきを与えてくれるし、学生だけでなく、大人も読んだほうがいい。

 あらためて、自分の足りないところや、やっていなかったところ、わかっていながらもやっていなかった点など、心を赤裸々にしてくれる、そんな本です。

――勉強がつらかった時期があったと思いますが、何が心の支えになっていましたか?

 まさに、「夢」や「目標」。『ずるい暗記術』にも書きましたが、私は、当時、「アイドルに会いたい!」が、勉強の一つのモチベーションになっていました。

 いまは、「アイドル、俳優、アーティストなど芸能人たちを助けたい!」に夢が変わっています。『勉強が面白くなる瞬間』にもあるように、夢をブラッシュアップしていく。頑張っていられるのも、「夢」や「目標」が明確だからですよね。

 勉強は挫折の連続。イヤなことも多い。それでも前を向くには、やりたいこと、「夢」や「目標」と向き合うことです。

――『ずるい暗記術』では、「欲求に忠実になる」とありました。『勉強が面白くなる瞬間』では、「欲望」はダメだと。

 たしかに、『勉強が面白くなる瞬間』には、「欲望と目標は大きく違います」とあります。また、「欲望は運よく手に入ればいいなという漠然とした願い」とも。ただ、私が思う欲望は、ちょっと違います。

 私の場合は、欲求に忠実であること。単なる「遊びたい」という欲求とかではなく、自分の将来の欲求から出るエネルギーを使い、「夢」や「目標」を達成していくのです。

 ところで、この本を読んで思い出したことがあるんです。私が一番刺さったのは、「VIP席をキープする」です。

 私は二浪して大学に入っているのですが、大学の講義では、座る場所は自由。4年間頑張ろうと思い、まずは座る席から意識しました。ちゃんと先生の視界に入って勉強しようと心がけた大学時代でした。

 大学時代、わからないことは、先生にどんどん聞いていましたが、VIP席に座ると先生にも覚えてもらいやすいので、質問もしやすくなります。座ったほうがいいですね。何気ない習慣ですが、いちばんシンプルでいちばんいい。ここに座るだけで世界が変わる。

 韓国講演のときもそうです。韓国の人はほとんど前に座っていました。日本人と韓国人の違いは、座る席から違う。

 そう、勉強に対する姿勢が違うんです。だからこそ、この本が売れたんでしょうね。

――それ以外に、なぜ『勉強が面白くなる瞬間』が韓国でベストセラーになったと思いますか?

 ノウハウ本が多いなか、この本はそうではありません。

「イヤイヤそうじゃないんだ。心の向き合い方を知りたいんだ!」という潜在的な需要が多かったのではないでしょうか。そして、類書がない。ここまで勉強の本質を書いた本はありません。それがヒットの要因なのかもしれません。

 いまは、テレビやスマホなど、身近に遊ぶものが多い。楽しいことだらけ。だから、なかなか勉強に集中できない時代でもあります。

 漫画をお店に買いに行かなくても、スマホで読める。動画がすぐ手元で見られる時代。昔と違って、誘惑が多いんです。だからこそ、誘惑に負けないために、どう心と向き合うか、悩んでいる人が多いと思います。

――それもあってか、母親の口コミで売れたのがこの本。子どもが寝ているあいだに、そっと机の上に置く社会現象が生まれたほどです。

「どうしたら、子どもが勉強と向き合ってくれるか」で悩んでいる親は多いでしょうね。

 そんななか、お父さんやお母さんにとって、お子さんが自発的に勉強を始めるのに、この本がひと役買った。そこが、ベストセラーとなったかな、とも。

 ただ、お父さんやお母さんがきっかけだとしても、45万部も売れない。子どもたちが読まなければ意味がないので。

 では、なぜ子どもたちが読んだのか。

 この本に、子どもたちを引き寄せる力があった。勉強を始める前の「力」とか「勇気」とか。

 投げ出しそうなときも、支えてくれる本だから、心のバイブルとなったのでしょう。

 この本のすばらしさは、「また読みたい」と思わせてくれるところなんですよね。
(取材・構成/編集部 武井康一郎)

(本原稿は書籍『勉強が面白くなる瞬間 読んだらすぐ勉強したくなる究極の勉強法』をベースにした、インタビュー記事です)