若き地理学者を表彰する2016年の式典で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領はある少年にブルキナファソの首都について尋ねた。続いて別の少年にロシアの国境はどこで終わるかと質問した。「米国との間にあるベーリング海峡です」。9歳の少年がためらいつつ答えた。プーチン氏がその答えを訂正すると、会場から拍手が沸き起こった。「ロシアの国境に終わりはない」と同氏は述べたのだ。プーチン氏のウクライナ侵攻――第2次世界大戦以降、欧州最大の戦争を引き起こし、ロシアと西側の断絶を招いた――の何年も前のこの光景には、ロシアの既成勢力の多くが心の奥深くに抱く信念が表れている。ロシアには領土を拡張する当然の権利があり、生き残りをかけてそうする必要があるということだ。
プーチン氏「帝国の野望」 どこまで目指すのか
プーチン大統領や側近はモスクワがかつて支配していた広大な土地を奪還すると公言、近隣諸国はロシアの脅威を深刻に受け止めている
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