経営危機にあったジャパンディスプレイ(JDI)で社長を務めた菊岡稔氏が今春、異業種である製薬大手のアステラス製薬CFO(最高財務責任者)に就任した。財務基盤の安定した会社に移り、今何を思うのか。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝)
JDIでの難しい局面の経験が
プラスになる
――経営危機だったJDIと、他業界と比べればかなり財務健全のアステラス。「戦時と平時」と言っていいほど、この2社は全くフェーズが異なります。
確かに当時のJDIは財務基盤がぜい弱でした。事業の先行きに不透明感がありました。財務基盤を立て直し、収益力を戻していきました。本当にいろんな面で最悪の事態も想定しながらでした。
アステラスでも次の成長軌道に乗っていく上で、決断をしないといけないものがたくさんあります。それぞれの会社のそれぞれのステークホルダーが期待することって、局面に応じてありますから。内部も外部も期待することに、より近づけていく際、JDIで難しい局面を経験したことがプラスになる。自分の中では矛盾がないのですが、変ですかね?(笑)。
――CFO(最高財務責任者)就任前後に気付いたアステラスの財務の特徴は?
財務は健全ですが、競合との比較では若干劣後していると認識する財務指標があります。