主要先進国の中で、日本の給料の安さは目を覆うほどの状態だ。この日本で働く人は、少しでも給料水準の高い業界や職種を選びたいところだ。そこで注目度大なのが、医薬品業界である。特集『安いニッポン 買われる日本』(全24回)の#9では、日本の医薬品業界の給料のリアルをグローバルデータで解明する。(ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)
「どの業界で働くべきか」
医薬品業界が「お薦めできる」理由
「どの業界で働けばいいのか」。就職活動期を控えた子供や、大学時代の後輩などに聞かれたら、あなたはどうアドバイスするだろうか。
まず、この問いそのものへの最終解答は存在しない。適性や興味といった、人によって無限に異なる条件を考慮すれば、お薦めの業界というのも十人十色、その人次第になる。
だが、論点を「給料が多いか少ないか」に絞れば、「業界の優劣」は途端に歴然とする。そして冒頭の問いへの答えも明確になる。得られる給料の水準ははっきり言って、働く業界を選んだ時点でほとんど決まるのだ。
そして21世紀には各産業でグローバル競争がますます加速すると考えれば、国内で高い給料をもらえているだけでは十分ではない。「グローバル水準でも遜色がない給料か」は、業界を選ぶ人にとっては非常に重要な要素だ。
この点において、データを基にすれば大注目なのが医薬品業界である。安過ぎニッポン時代の勝ち組と言ってもよいだろう。いかに医薬品業界が「お得」なのか、第一三共やアステラス製薬といった主要企業の給料のリアルも示しつつ、図表で解明する。