FRBパウエル議長パウエル議長が、景気の腰折れを招くことなく、物価を効率的に抑制できると予想する理由とは Photo:Federal Reserve

0.75%の利上げを決めたFRB
インフレ抑制を優先

 米連邦準備制度理事会(FRB)は6月15日、0.75%という大幅な利上げを決定した。パウエルFRB議長は記者会見で、「FRBにとって最悪の失敗は、物価の安定を損ねること」と語った。景気に多少の犠牲を強いることになっても、インフレ抑制を優先する強い決意を示した格好だ。

 FRBの決意は、同日発表された経済予想にも現れている。図1にあるように、2022年の物価上昇率の予想値は、3月時点の4.3%から5.2%へと上方修正されており、同時に2022年末のFF金利の予想値も1.9%から3.4%へと引き上げられた。この見通しに従えば、FRBは年内に1.8%の追加利上げを行う必要がある。

 その結果、2023年には物価水準が半減し、2024年には利下げ余地が生じる見込みだ。ただしその間、経済成長率は2%に届かず、失業率も毎年緩やかに上昇することになる。これは、インフレ抑制のための経済的なコストと言えるが、この程度の景気減速と失業率の上昇で済めば、FRBが目論むソフトランディングは大成功と言えるだろう。