スポーツ指導者が陥る「孤独」の深刻、複雑化する地域社会にSOSは届くか人知れず孤独に悩むスポーツ指導者は多い(写真はイメージです) Photo:PIXTA

名選手が名指導者になれるとは限らない。指導者には的確にアドバイスするための分析力、コミュニケーション力、メンタルヘルスケアの知識などが求められる。複雑化しているようにも見える指導者スキルだが、スポーツ指導に必要なスキルや知識はどのようにして習得されるのだろうか。書籍『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』(中竹竜二著、ダイヤモンド社)から、スポーツ指導者が悩みを改善するヒントを探ってみた。(文/フリーライター 鈴木 舞)

実はスキルアップしたい
スポーツ指導者たち

 一般的にスポーツ指導者とは、選手の能力を伸ばし、チーム力を強めるために存在している。かといって、指導者はコーチングだけすればいいわけではない。指導者自身にも、指導力やマネジメントスキルの向上が求められる。ただし、指導者に対して助言してくれる存在は決して多くない。

 書籍『ウィニングカルチャー』でも、高校ラグビーの指導者たちが直面する孤独を指摘。指導者が陥りやすい孤独に対して、改善を試みた事例が紹介されている。同書によると、高校ラグビーユースコーチの合宿では、指導者を対象とした学習プログラムを開催したという。

「指導者たちは、実は学びに飢えていたのです。指導者は孤独で、なかなか情報が入ってこないため、自分のやり方しか知りません。地元ではみなさん有名な指導者なので、彼らの存在に遠慮して、フィードバックをしてくれるような人もいませんでした。だからこそ、合宿の場が指導者たちの学び合う貴重なコミュニティとして機能しました」(『ウィニングカルチャー 勝ちぐせのある人と組織のつくり方』より)

 スポーツの世界では、指導者による誤った指導が問題となることも少なくない。その背景には、指導者が新しい知識や情報を得る機会の少なさもある。そしてこうした背景には、指導者の孤独が大きく影響しているのではないだろうか。