しかし、過度な容姿コンプレックスは、実は自分の思い込みだったということもある。顔にホクロが多いことを他者から指摘され、気にしていた筆者は、マスク生活中に除去してしまおうと美容クリニックへ行き、ホクロ10個をレーザーで除去してもらった。顔のあちこちに点在していたホクロがなくなって、内心ウキウキしていたのだが、そのことを知らない友人たちと会っても、誰一人としてホクロを除去したことに気づかなかったのだ。

「ホクロ取ってんけど、気づかへん?」と聞いても、「そんなにホクロあったっけ?てか、なんで取ったん?」などと言われる始末である。今でもホクロを取ったことに後悔はないし、むしろコンプレックスが一つ解消されて生きやすくなったと思う。しかし、自分が思っているほど、人は他者の顔を見ていないし、気にしていないのかもしれない。

ノーマスクの自分を受け入れる

 マスク依存症の人たちは、今後どうするべきなのだろうか。精神科医は、あえて不安な場面に挑戦し続けて、自分の行動パターンを新たにしようとすることが効果的だとしている。屋外の人が少ない場所でマスクを外すことを繰り返すことで「意外とマスクを外しても、大丈夫だ」と思えるようになり、少しずつマスクへの依存心が和らぐのだという。

 もちろん、もともと他者にどう思われているか気になりやすい人は、マスクを着用することで社会活動しやすくなるのなら、無理に外すことはない。しかし、筆者のように感染対策でマスクを着用していたはずが、長期間マスクを着用した結果、マスク依存症の予備軍のような心理になってしまった人たちは、そろそろノーマスクの自分を受け入れていく心の準備をしていくのが良いのかもしれない。対面でマスクを外すことに抵抗のある人は、まずは手始めに、オンライン会議や、身近な人との食事の席などで外してみてはいかがだろうか。