増加する空き家と0円物件

 日本国内にある空き家の数は2018年10月1日時点で846万戸、総務省統計局の「住宅・土地統計調査」(PDF)によると総住宅数に対して13.6%という過去最高値の空き家率を記録している。1988年からの30年間で空き家が452万戸も増加しているのだ。

 空き家を取得した経緯としては、リライトと0円都市開発合同会社の両代表が「圧倒的に相続が多い」と口をそろえる通り、相続による取得が過半数を占める(国土交通省住宅局「平成26年 空家実態調査」、PDF)。

 実家などを相続したものの、「現在の居住地から遠い」「利用する人がおらず、利用する予定もない」といった理由で空き家になってしまうケースは少なくない。資産になる物件ならば所有しておくという手もあるが、「売却したいが数年たっても売れる気配がない」「不動産業者に相談したが相手にされない」「自治体に寄付を申し出たが断られた」と負動産化してしまう空き家も多いのである。

 田中代表によると「0円でも、諸費用を負担してでも空き家を手放したい」という相談は4年ほど前から増えてきたという。空き家は放置しておくだけでも管理責任や費用が発生するため、扱いに困った所有者がリライトや「みんなの0円物件®」に0円物件や格安物件として負動産を持ち込むのだ。

 直近1年間で0円物件を約400件扱ったという中村代表は「その前の1年間は、年間で100件ほどでした」と語る。都市部への人口集中や少子高齢化で、今後ますます空き家が増えていくことは想像に難くない。空き家の増加に伴い、負動産に頭を悩ませている人たちも年々増えているのだ。