ハーバードが注目、日本も米国も深刻な「働きすぎ問題」の処方箋とはPhoto:PIXTA

ハーバードビジネススクールのアシュリー・ウィランズ助教授の著書『TIME SMART(タイム・スマート):お金と時間の科学』が注目を集めている。現代人はどうやって自分の時間をうまく使っていくべきなのだろうか。研究で見えてきた、その極意とは。(聞き手/作家・コンサルタント 佐藤智恵)

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常に時間が足りない現代人が
心得ておきたい「時間術」とは

佐藤智恵 著書『TIME SMART(タイム・スマート):お金と時間の科学』が日本でも話題を呼んでいます。本書の一貫したテーマは、「どのように時間を使えば私たちはもっと幸せになれるのか」。そもそも、なぜ時間術の本を書こうと思ったのですか。

アシュリー・ウィランズ 私が本書を書いたのは、私自身が「時間をうまく使えない」という悩みを抱えていたからです。

 常時接続が当たり前となった今、私たちの時間は細切れになるばかりです。仕事中にも頻繁にメールやSNSをチェックしてしまいますし、娯楽を楽しんでいる最中、家族と過ごしている時間の合間にもついつい、スマートフォンを見てしまいます。

 言わば、現代人は「常に気が散っていて、落ち着かない状態」。私たちの集中力、生産性は低下するばかりです。さらに、多くの人々は日々の仕事や雑事に忙殺され、「好きなことをやりたいのに時間がない」と感じています。この欠乏感が人々をますます不幸にしているのです。

 こうした現象を私たち研究者はまとめて「タイム・プア」と呼んでいますが、今、「タイム・プア」に悩む人が後を絶ちません。そこで、どうすれば「タイム・プア」から脱却し、より幸せな人生を送れるのか、私自身が知りたいと思い、この本を書くことにしました。

佐藤 「四六時中、メールやSNSをチェックしてしまう」のは、もはや現代病のようにも思えますが、この状況から脱却するのは本当に難しいと感じています。ご自身では、どのように「時間の細切れ問題」に対処しているのですか。