今年は新幹線のアニバーサリーイヤーだ。まず1972年3月に開業した山陽新幹線(新大阪~岡山間)が50周年。1982年6月に開業した東北新幹線(大宮~盛岡間)、11月に開業した上越新幹線(大宮~新潟間)が40周年。そして前々回の本連載で取り上げた山形新幹線が30周年で、東北新幹線の盛岡~八戸間が20周年を迎える。特にこの中で、山陽新幹線から東北新幹線までの10年間は、新幹線にとって大きな曲がり角を迎える試練の10年だったと言えるだろう。(鉄道ジャーナリスト 枝久保達也)
確立された技術で
実現した時速210キロ
1964年10月に開業した東海道新幹線は、鉄道は斜陽産業だと考えられていた中で、誰も予想しないほどの大成功を収めた。すぐさま新幹線の延長が検討され、開業翌年の1965年に新大阪~岡山駅間の建設が認可されている。
東海道新幹線とは本来、人口と経済活動が集中する東名阪に最適化した、高速かつ大量輸送が可能な交通機関を作ろうという、いわば一回限りのプロジェクトだった。それが山陽新幹線以降、東海道という特殊性から切り離され、普遍的な高速鉄道を指向していく。