LIXIL「社員4000人がアプリ1万7000個を開発」仕掛け人が明かす狙いとは写真はイメージです Photo:PIXTA

ソースコードの記述をせずにアプリやWebサービスなどのソフトウエアを開発することを「ノーコード開発」と呼ぶ。プログラミング経験がなくても誰でもアプリが作れるというわけだが、実際にはプログラマー以外でアプリやWebサービスを開発したことがある読者はほとんどいないだろう。しかしLIXIL(リクシル)では、幹部全員を含む従業員4000人がノーコードでアプリ開発に挑戦し、業務を効率化するアプリを1万7000個作ったという。そんなにアプリを作って、LIXILは一体何がしたいのか?仕掛け人に取材してみた。(ノンフィクションライター 酒井真弓)

LIXILの社員4000人が、1万7000個ものアプリを開発した

 LIXIL、従業員約4000人がノーコード開発ツール「Google AppSheet」で1万7000のアプリを開発――2022年6月下旬、そんな衝撃的なニュースが舞い込んできた。ノーコード開発とは、あらかじめ用意された機能を使ってアプリを開発できる仕組みで、プログラミングのスキルがなくても業務改善ができるとして注目を集めている。

 ネットでは、「DXの好例だ」と称賛の声が上がる一方で、「野良アプリの温床」「秘伝のExcelマクロが乱立するのと何が違うのか」「保守が大変そう」「作った人が辞めてしまったら、結局IT部門が後始末するんだよね?」といった否定的な意見も見られた。確かに、メンテナンス不能となったExcelマクロが業務改善の足かせとなる例は、多くのビジネスパーソンに心当たりがあるだろう。

 そんなにアプリを作って、LIXILは一体何がしたいのか。プロジェクトを推進したLIXIL常務役員、岩崎磨さん※にぶつけてみた。

※「崎」の字は、正しくは「大」の部分が「立」です。