開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。
中学校選びは「子どもの10年先の幸せ」を考える意識
読者のみなさんも経験があると思いますが、中学生の頃は心も体も大きく変化します。
いわゆる思春期に突入し、性的な事柄に関する興味も深まります。そういう時期を過ごす学校がどういうところであるかは、その子の人格形成の上でとても重要です。
とくに、ひとりっ子の場合、兄や姉という思春期の先輩がおらず、すっかり大人である両親や祖父母がすべての環境で育っています。
そうした子どもが、反抗期を迎え、少しずつ親から離れていくのが中学生時代。そこでは、学校という環境が子どもにとって大きな割合を占めるようになります。
だから、中学校選びは、単純に偏差値や進学実績などを見るのではなく、「子どもの10年先の幸せ」を優先する意識が必要でしょう。
偏差値や進学実績だけで学校を選ぶことの落とし穴
たとえば、ひとりっ子の男の子の多くは、自分の周囲にいる女性は母親だけという環境で育っています。
そのため、姉がいたり、兄のガールフレンドに会ったりすることで自然に構築されていく、生身の女性に対するイメージが抱けずにいます。
そうであるなら、開成のような男子校でガリガリ勉強ばかりするのではなく、リア充がかなう共学校で楽しく学びながら、そこそこの大学に行くというのもありでしょう。
もちろん、女子生徒のパワーに潰されてしまうようなタイプの子なら、男子校へ行くほうがいいかもしれません。
女の子も同様で、男子がいると学校生活が楽しめないというなら、お嬢様学校という選択肢もあって当然です。
ただ、男女平等意識が進む最近の傾向としては、男子校・女子校よりも、共学校を軸に考えている親が増えているのが現実です。比較対象がないひとりっ子の親としては、その流れも知っておいたほうがいいでしょう。
いずれにしても、学校選びの最優先事項は 「その子に合った」 であるべきだということです。その指標となるのは、偏差値ではなく、ましてや親の価値観ではありません。
(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)