本書の要点

(1)FIREには4つのタイプがある。著者が勧めるのは、資産収入と労働収入で生活する「サイドFIRE」だ。サイドFIREは、必要な資産が少ないため、実現性が高い。
(2)FIREを実現・実行する3ステップは、〈1〉投資の資産をつくる、〈2〉資産を運用する、〈3〉資産が大きくなったらリタイアして、資産の一部を取り崩して生活費に充てる、だ。
(3)本書が提案するFIREの実現法は、「年間支出25倍分の資産を米国インデックスに投資して、年間4%ずつ売却し、その4%の売却益と配当金の範囲内で生活する」というものである。

要約本文

◆なぜ「投資すべき」なのか
◇日本で投資が「マスト」になった3つの理由

 現代日本に生きる私たちに投資が必要な理由は、大きく分けて3つある。

 1つ目は、会社員の平均給与(年収)が上がらないから。厚生労働白書によると、1989年の会社員の平均給与(年収)は約452万円。一方、2018年には約433万円と、約20万円も下がってしまっている。主要な欧米諸国と比べると、日本だけが実質賃金が下がっているというデータもある。

 2つ目の理由は、超低金利だから。現在のメガバンクの一般的な定期預金金利は、わずか0.002%。預け入れた100万円が倍になるのは、なんと3万6000年後だ。

 3つ目の理由は、インフレによって「お金が減る」から。長年デフレが続いてきた日本だが、直近では少しずつインフレ傾向になってきている。そのような状況においては、株式や不動産などといった、目減りしない資産を持つことが大切だ。

◇「富裕層」が増える日本

 給料が上がらない、超低金利、インフレと聞くと、この時代にお金持ちになることはできないと思ってしまうかもしれない。だが野村総合研究所によると、純金融資産保有額が1億円以上~5億円未満の「富裕層」は増加傾向にある。世帯数でいうと、2005年には81.3万世帯だったところ、2019年には124万世帯に“激増”している。これは全世帯の2%、つまり50世帯に1世帯は「富裕層」ということだ。