◇「年収300万円FIRE」のロードマップ

 ここでは、年収300万円の人が7年でサイドFIREするためのロードマップを見ていく。

 額面年収300万円の場合、手取りは約234.6万。月額19万5500円ほどである。「この中でいくら投資に回すのか」が最大のポイントとなる。

 たとえば、毎月5万円を投資に回し、残りの14万5500円を生活費に充てるとしよう。FIREするのに必要な金額は「年間の生活費×25倍」なので、「14万5500円×年間支出12カ月×25年分=4365万円」となる。毎月5万円を投資に回し、利回り5%で運用すると、資産額4365万円に到達するには30年9カ月もかかってしまう。これでは早期退職とはいえないだろう。

 一方、本気で支出を抑えて、月10万円を投資し、残りの9万5500円で生活したとしよう。この場合、FIREに必要な資産額は「9万5500円×年間支出12カ月×25年分=2865万円」となる。毎月10万円を投資して、利回り5%で複利運用を続けた場合、16年目までにはFIRE達成可能だ。

 なお、サイドFIREを選び、生活費の半分を資産収入で、残り半分を労働収入でまかなうなら、必要な資産額は半分になる。サイドFIRE達成に必要な資産は1432万5000円。月々10万円を5%で運用できたとして、1432万5000円をつくるのに必要な年数は9年5カ月と、達成までの期間を大きく短縮できる。

◇7年達成に必要な「2年間スタートダッシュ」

「FIREするぞ!」と決めてから最初の2年間は、投資に回すお金をなるべく増やすのがおすすめだ。米国株のように、過去の実績から見て長期的な右肩上がりが続いている金融資産の場合、なるべく早い時期になるべく多くのお金を投資しておいたほうがいいからだ。

 月額の手取りが約20万円だとすると、最初の2年間は手取りからの10万円に加えて、副業で10万円を稼いで、毎月合計20万円を米国株インデックスファンドにつぎ込むのもいいだろう。「2年間スタートダッシュ」によって資産が増え、より早くFIREできる可能性が高くなる。

◆資産を増やす「FIREマインド」
◇収入が増えても固定費は上げない

 FIREを達成できるかどうかはマインド次第である。FIREを早期に実現するためには、元本になるお金を用意するため、支出を抑え、収入を増やす努力が必要だ。

 注意が必要なのは、副業を始めて収入が増えてきたとき。収入が増えたからといって、決して固定費を上げてはならない。一度上がった生活レベルを引き下げるのは容易ではないし、生活費に必要な固定費を上げてしまうと、FIRE達成に必要な資産額が大きくなるからだ。FIRE実現に近づくために、このポイントを覚えておこう。