そこで本書では、「年間支出の25倍の資産を米国株インデックスで築き、年間4%ずつ売却し、その4%の売却益と配当金の範囲内で生活する」ことを提案する。米国株インデックスとは「米国の株価指数に連動して値動きする金融商品」のことだ。長期的に年平均7%前後で成長しているため、本書では米国株インデックスを採用している。

◇FIRE達成シミュレーション

 ここでは一例として、3000万円を貯蓄できた場合のシミュレーションをしていく。

 この資産を毎年4%の利回りで運用すれば、1年間で得られる運用益は「3000万円×0.04=120万円」となる。つまり、年間で120万円、1カ月あたり10万円で生活できれば、資産300万円でもFIREは達成可能だ。

 月々10万円が厳しい人のために、20万円でもシミュレーションしてみよう。運用利回り4%で年間240万円の資産収入(不労所得)を得るために必要な元本は、「240÷0.04=6000万円」である。6000万円の資産があれば、月々の生活費が20万円でも、資産収入だけで暮らせるということだ。

 4%ルールを使えば、FIRE達成に必要な資産の額がわかる。年間100万円の生活費で暮らせる人は、資産から得られる毎年4%の運用益がちょうど100万円あればいいのだから、そのために必要な元本は2500万円だ。

 つまり、運用利回り4%の逆数である「生活費の25年分」がFIRE達成の重要な目標になってくる。生活費の25年分の資産があって、年4%の運用益が得られれば、資産を一切減らすことなくFIREが達成できるのだ。生活費を低く抑えられれば、少ない資産と低い運用利回りでもFIRE可能だ。

◇「サイドFIRE」なら実現しやすい

 FIRE達成には「年間生活費×25年分」が必要になる。それを踏まえて著者が勧めるのは、「資産収入+労働収入」で生活する「サイドFIRE(Barista FIRE)」だ。

 その理由は、サイドFIREなら、準備しなければならない資産が半分ですむからだ。FIRE達成までの時間を短縮できて、ストレスがかかりにくい。