開成、麻布、桜蔭、雙葉、筑駒、渋幕……東京・吉祥寺の進学塾VAMOSは、「入塾テストなし・先着順」で生徒を選抜しないが、「普通の子ども」を有名難関校に続々と合格させると話題の塾だ。子どもの特徴を最大限に生かして学力を伸ばす「ロジカルで科学的な学習法」が、圧倒的な支持を集めている。本稿では、VAMOSの代表である富永雄輔氏の最新刊『ひとりっ子の学力の伸ばし方』(ダイヤモンド社)から、特別に一部を抜粋して紹介する。
ひとりっ子が「マイペース」になりやすい本当の理由
ひとりっ子は、良くも悪くも自分のやり方にこだわるマイペース人間です。
しかし、ひとりっ子がマイペースなのは、生まれ持っての性格が大きく関与しているわけではありません。
自分のペースを乱す存在がいないから、結果的にそうなっているだけです。
そもそも、ひとりっ子には兄や姉という目印がいない上に、コロナ禍でオンライン授業が増えたことで、同級生と比較して自分のペースを測る機会すら減りました。
たとえ、そのオンライン授業が「1対多」の方式であったとしても、教室での授業のように、同級生の発言や正解率などを把握することはできません。
そうした状況にあって、ひとりっ子のマイペースぶりに拍車がかかっています。
マイペースは悪いことではない
では、マイペースはまずいことなのでしょうか。
当然のことながら、「みんなに遅れているペース」のまま平気でいるのはいただけません。
一方で、「みんなよりずっと先を行くペース」を維持することも、マイペースが貫けるひとりっ子なら可能です。
ただ、比較対象がないひとりっ子は、自分が今どのくらいの地点にいるかわかりませんし、競争心も弱いほうなので、下手をすれば前者になってしまいます。
親が学習のペースをつくってあげることを意識
そこで、親が、わが子の現在地と目的地をしっかり見極め、早めに到達できるようなペースをつくってあげる必要があります。
とはいえ、「マイペース」と言うくらいですから、ペース自体のスピードを変えるのはなかなか難しいはず。ここは、早いスタートを切ることが大事になってきます。
親が早くから動き、いいペースに乗せてさえあげれば、それを誰にも邪魔されることなく継続できるひとりっ子は最強です。
もし、ひとりっ子の親が「うちの子はマイペースで困る」などと嘆いているとしたら、それは余りにも損な態度と言えます。
マイペース上等。わが子のマイペースをいい方向に生かし、ほかの子どもたちを引き離しましょう。
(本稿は、『ひとりっ子の学力の伸ばし方』からの抜粋・編集したものです)