高級セダンの代表格「クラウン」
新型車が占う国内営業改革の行方
トヨタ自動車の国内での代表車種である「クラウン」の16代目発表が大きな話題となった。7月15日にトヨタは、幕張メッセで「新型クラウン ワールドプレミア」と題した発表会を開催した。クラウンは、かつて「いつかはクラウン」と呼ばれた高級セダンの代表車種だ。トヨタブランドにとっても「フラッグシップカー」として国内販売を引っ張ってきた立役者である。
しかし昨今、乗用車の需要構造が変化し「セダン衰退」が起きている。また、トヨタは高級ブランドの「レクサス」でもセダンを展開しており、難しい立場に置かされたクラウンは、モデルチェンジの度に「どうするクラウン」と言われる存在になってきていた。今回のモデルチェンジでは「クラウンがセダンからSUVに切り替わる」との先行情報も流されていた。
それだけに注目された新型クラウンの発表会だが、ふたを開けてみると「クロスオーバー」と呼ばれるSUVとスポーツタイプの「スポーツ」、ステーションワゴンタイプの「エステート」に「セダン」も残して、4車型をシリーズにラインアップした。車型のバリエーションを強化することで、幅広い顧客の取り込みを狙う。豊田章男社長は「徳川幕府も15代で終えた。日本の歴史に重ねれば(16代目の)新型クラウンは明治維新の改革だ」と、強い意気込みをあらわにする。
さらに、これまで基本的に日本専用車だったクラウンを、新型車から世界40カ国で販売するグローバル車種に転換する。4車型のうち、第1弾としてクロスオーバーを今秋から発売し、ほかのタイプも順次1年半以内に発売していく予定だ。