定期利用者数が増加しても
混雑率を減少できる可能性を示唆

 アフターコロナの通勤ラッシュを考える上で興味深いデータが、各社のコロナ以降の利用者の推移だ。例えば東急電鉄の輸送人員をコロナ前と比較すると、2020年4月以降安定して30%減の水準で推移している。

 今年度に入って感染者数が減少し社会活動が戻り始めても、テレワークが定着したため通勤定期利用者数は回復していない。つまり混雑率調査が行われた昨年秋とも変わっていないし、今後も劇的に増えることはないだろう。

 一方、通学定期利用は学校閉鎖やオンライン授業の実施状況で大きく変動する。2020年4月はコロナ前と比較して90%以上の大幅な減少だったが、2021年4月は約37%減、2022年4月は約24%減、6月は10%減まで回復していた。

 昨年10月と今年6月を比較すると、通勤定期利用者が約2%増加したのに対し、通学定期利用者は約29%増加している。定期利用者全体では約8%の増加だ。混雑率調査の数値と実感に乖離があるとすれば、通学利用の回復が影響している可能性がある。

 もっとも東急各線は対2020年度で混雑率が大幅に低下している。定期券利用者とは定期券の発売数の総計だ。もし定期券を購入しながら利用しない人が多ければ、定期利用者が一定でも実測値を基に算出する混雑率が下がる可能性はあるが、それは検証不可能なので省きたい。時差出勤やフレックスタイム制の普及・拡大により、ラッシュ時間帯を避けた利用が可能になり、ピークが分散されたとみるのが妥当だろう。

 他の事業者では、ここまで明確な変化は見られず、沿線に情報通信業就業者が多いとされる東急の特殊性の表れともいえるが、いずれにせよ利用者数が増加しても混雑率を減少できる可能性が示された意義は大きいだろう。