目標達成のためには個の能力を伸ばすことも重要だが、チーム力を向上させることが欠かせない。ただし、個が集結すると衝突や混乱などのリスクも発生する。個の力を活かしてチームを強化するには、チームビルディングが肝となるのだ。書籍『エディー・ジョーンズ わが人生とラグビー』(エディ・ジョーンズ著、ダイヤモンド社)では、ラグビーイングランド代表による「パフォーマンス会話」の例を紹介。トップアスリートらが実践したコミュニケーションから、チームビルディング成功のヒントを探る。(文/フリーライター 鈴木 舞)
スポーツやビジネスで
重視されるチームビルディングとは
ビジネスでもスポーツでも、個人が達成できる物事には限界がある。より大きな目標やゴールに辿り着くには、チーム力を強化することが重要だ。
たとえば、サッカーやラグビーなどのチームスポーツでは、プレーヤー同士の信頼関係や協力体制が構築されていなければ、個の力が高くとも相乗効果を生み出せない。
ゴルフやマラソンのような個人競技でさえ、勝利や目標達成にはチームの支えが不可欠であることは少なくない。監督やコーチ、トレーナーなどがプレーヤーと力を合わせてチームを構築していくことが、高いパフォーマンスにつながるのだ。
チーム力を強化するために近年、注目されているキーワードが、チームビルディングだろう。チームビルディングとは、個々の能力やスキルを最大限に活かしつつ、大きな目標に取り組むための組織構築法だ。チームビルディングはスポーツやビジネスなど、さまざまなシーンで取り入れられている。
タックマンモデルと呼ばれるチームビルディング理論では、チームの成長ステージを5つに分けて考える。形成期・混乱期・統一期・機能期・散会期の5つのステージを経験しながら、チームは試行錯誤を繰り返して強化・成熟していく。
このタックマンモデルが示しているように、チームビルディングは常に安定的に進むとは限らない。チームが危機を迎える局面もあり、その危機を越えられるかどうかでチームの未来が大きく変わる。