スマートフォンに依存している人たちが、特にハマっているのがSNSだ。友人がどこで何をしているのかを常に知りたくなり、転職・結婚・出産といった自分のライフステージの変化も欠かさず投稿したくなる。自分の投稿に「いいね!」が少なかったり、友人からの返信が遅かったりすると不安になり、頻繁にスマホを見てしまう。友人と自分を比べて落ち込んだり、逆に優越感に浸ったりすることもある。そんな心理状態は、どのようにして作り出されるのか。どうすればSNS依存から脱却できるのか。心理学博士の筆者が詳しく解説する。(心理学博士、MP人間科学研究所代表 榎本博明)
悪気なくSNSに投稿したはずが
思いがけない反応に戸惑うことも
駅で電車を待っているときも、電車に乗っているときも、スマートフォン(スマホ)を操作している人があまりに多い。ほとんどの人がスマホをいじっている。ゲームをしたり、検索したり、動画を見たりしている人もいるが、とくに目立つのがSNSに没頭している人だ。
常に誰かとつながり、やりとりをする。グループメンバーに向けて、あるいは不特定多数に向けて、思いをつぶやいたり、写真を投稿したりする。
こうしたやり取りは楽しい半面、うっかり余計なことを発信して、誤解されたり、気まずくなったり、攻撃的な反応を受けたりと、痛い目に遭ったことのある人も少なくないはずだ。
筆者の周囲には、家族旅行の写真をSNSに投稿したところ、「いいね、こっちは貧乏暇なしでどこにも行けそうにない」といった反応があり、なにか気まずい感じになってしまい、軽い気持ちで投稿したことを後悔したという人もいる。
すてきなレストランだと思って、食事をしているところを写真に撮って投稿したら、「そんな高級レストランでランチなんて優雅だね」といった皮肉のようにも見える反応があり、どう受け止めたらよいのか悩み、返信できなかったという人もいる。
本人は、純粋に自分が楽しい気分に浸り、その気分をみんなと分かち合いたいと思ったのであって、「こんなに幸せなんだ、すごいだろう!」と自慢する気持ちなどないし、「どうだ、参ったか!」などとマウンティングするような気はまったくない。
それでも、そうした投稿を目にする人たちから思わぬ反発を食らうことがある。一体なぜだろうか。