ひろゆきが語る「テロのような社会への報復を生み出さないための、たった1つの考え」ひろゆき氏(撮影:榊智朗)

SNSの総フォロワー数は300万人を超え、YouTube動画の月間再生数は3億回を超えるなど、現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。
彼の代表作『1%の努力』では、「考え方の根っこ」を深く掘り下げ、人生の原点をマジメに語っている。
この記事では、ひろゆき氏にさらに気になる質問をぶつけてみた。(構成:種岡 健)

個人のせい? 社会のせい?

 あなたは、「社会への報復」の事件を見て、どのように思うでしょうか。

「自己責任だ」「努力が足りないからだ」と、個人のせいにしますか?

 それとも、努力が報われない社会やコミュニティから孤立してしまったことに目を向けますか?

 近年、テロ行為や無差別殺人事件が目立ってきています。その背景に、社会に対して報復をし、自分自身は逮捕されたり死刑になってもいいと考える「無敵の人」の存在が共通してあります。

 もちろん、事件を起こした個人は罰せられるべきです。ただし、社会に問題がないかどうかも同時に考えないといけないと僕は思います。

壊れていく「社会との信頼関係」

 幸せに生きている人が、いきなり喜んでテロを起こすことは考えにくいと思います。

 社会的に孤立し、努力が報われず、経済的に困り果て、最終手段としてテロや無差別殺人を選んでしまいます。

 これまでの日本は、多少、豊かさがあったのでしょう。警察は、刃物で襲ってくることを想定してボディガードをしていたようで、爆弾や銃器は想定していなかったようです。

 実際に、市販されている火薬で爆弾が作れてしまうのですが、「まさか、そこまでしないよね?」という信頼関係のもと、治安は維持されていたのです。

 しかし、今の日本を見ると、そんな信頼関係は壊れてしまったように思えます。国として経済力が落ち、個人にそのしわ寄せがいくと、経済的な理由によって社会への報復が起こってしまうのです。

 テロ行為をする手段ではなく、「目的」のほうに目を向けたほうがいいと思います。

 なぜ、逮捕されることを恐れない「無敵の人」が生まれてしまっているのかを考えるのです。特定の人に復讐するのではなく、社会全体に攻撃が向いてしまっているのかを考えなくてはいけない。

人を排除しない社会へ

 日本では自殺をする人が約2万人もいます。

「自分には生きる価値がない」という選択をしてしまうのです。

 その孤立感が「社会から阻害されていること」への復讐心に変わると、社会への報復が起こってしまいます。

 因果応報で、人を排除すると、排除された人が社会に牙をむくのです。

 たとえば、駅前や公園のホームレスを排除するような動きがあります。

 自分たちの見えないところに追いやれば、問題が解決したと思ってしまうのでしょう。

 しかし、排除された人たちの問題は何も解決されていません。

 見たくないと思っているものを、いかに受け入れるかです。

 学校や職場でいじめのような形で排除されてしまう人がいます。

 それがきっかけで社会から孤立してしまうこともあります。

「あのときのいじめが、あの事件に結びつくの!?」ということだって、起こり得るのです。

「目の前からいなくなればいい」「辞めさせればそれでいい」と考えてしまう前に、一度、「どうやったら共存できるだろう?」「どこで受け入れてもらえばいいだろう?」と、想像力を働かせることです。その一歩が、将来に起こりうる「社会への報復」を減らすことにつながります。

ひろゆき
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。著書に、45万部を突破したベストセラー『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。