SNSの総フォロワー数は300万人を超え、YouTube動画の月間再生数は3億回を超えるなど、現在、日本中で大ブレイク中のひろゆき氏。
彼の代表作『1%の努力』では、「考え方の根っこ」を深く掘り下げ、人生の原点をマジメに語っている。
この記事では、ひろゆき氏に「日本の政治の問題」について聞いてみた。(構成:種岡 健)
綺麗事より「ハック」が大事?
あなたはどうやって政治家を選んでいますか?
選挙では、マニフェスト(政権公約)を掲げて、その人の素質をアピールしてもらい、その中から適性な人を選ぶ。それが大前提の正攻法でしょう。
しかし、いまの日本の選挙を見ていると、どうもそうなってはいません。
大きなビジョンや理想論、綺麗事などを語るより、「戦略的にハックした人」が勝ってしまっています。
「個人の努力」より圧倒的に重要なこと
そもそも、大きな党は比例で当選することができるので、組織的な戦略を考えて選挙に臨んではいました。
それに対するバッシングは、最近のNHK党の動きから始まったのかもしれません。
NHK党は、ガーシー氏、ホリエモン氏のマネージャー、FC2の創業者の高橋氏など、有名な人を全国に出馬させて「票の数」を稼ぎました。おそらく、1人1人では本当に当選するとは思っていないでしょう。
しかし、NHK党は全国で28万票を集め、比例で1名を当選させることに成功しました。
一方で、東京都で出馬した乙武洋匡さんは、32万票を取ったけれど落選しています。
いかに組織的にハックしたほうが当選しやすいかを物語っています。どちらが良い悪いではありません。ただ、個人が努力するより組織がうまくやったほうが受かりやすいというだけの話です。
ハックする政治家たち
そもそも、自民党や立憲民主党も比例でたくさん当選しています。
多くの証言により、自民党幹部は、「昔から宗教による組織票の割り振りをしていた」という事実もあります。
安倍元首相の時代は、選挙に勝ち続けることができました。
菅元首相に比べて、安倍元首相がどんな政治的な功績を出したのかはよくわかりませんが、とにかく選挙に勝つノウハウを持っていたのでしょう。
日本をどうするかより、選挙に勝つテクニックを持っていることが重要だったのです。
さらに、「政教分離」という考えがあるにもかかわらず、公明党が与党になってしまっている問題もあります。
公明党も、宗教による組織票で政治家を送り込み、自民党とくっついて与党になってしまうことで「選挙をハックした」わけです。
「外国」にハックされる前に
いま問題にあがっている「旧統一教会」も選挙のハックに成功したのです。
旧統一教会の信者は6万人と言われています。
そんな彼らが影響力を持ったのは、「タダ働きをしてくれる」からです。
単純に信者の1票を与えるのではなく、タダで電話攻撃をしてくれたり、ポスターの張り出しをしてくれる。
仮に20人の信者が、選挙期間中の2週間に働いてくれるとしましょう。すると、「20人 × 日給1万円 × 14日間 = 280万円」が浮く計算になります。
もし、企業のような団体がこのようなボランティアを出すと、公職選挙法に抵触します。それは、その企業に所属していることが簡単にわかってしまうからです。
しかし、宗教団体だとグレーです。なぜなら、その人たちが信者であることを証明するのは難しいからです。企業と違って、宗教は個人の意思があるかどうかなので、警察は信者かどうかを確かめられません。
よって、政治家にとって宗教団体のボランティアは、非常にありがたい存在なのです。
しかし、こうやって日本政治がハックできる例を示してしまったわけです。
これをマネする外国勢力が日本の政治家に入り込むこともできてしまうのです。中国やロシアの工作員を無償で選挙を手伝ってくれるボランティア要員として送り込めてしまうのです。
「そんな悪いことなんてしない!」と、あなたなら思うでしょうか。それとも、僕のように最悪を想定して「可能性はあるかもしれない」と思うでしょうか。
いずれにしても、これから私たちが政治家を見極めていくためには、「よくわからない人たちが無償で働いてくれると言っても、私は手伝わせない」と断言するかどうかを追及したほうがいいでしょうね。
本名:西村博之
1976年、神奈川県生まれ。東京都に移り、中央大学へと進学。在学中に、アメリカ・アーカンソー州に留学。1999年、インターネットの匿名掲示板「2ちゃんねる」を開設し、管理人になる。2005年、株式会社ニワンゴの取締役管理人に就任し、「ニコニコ動画」を開始。2009年に「2ちゃんねる」の譲渡を発表。2015年、英語圏最大の匿名掲示板「4chan」の管理人に。2019年、「ペンギン村」をリリース。著書に、45万部を突破したベストセラー『1%の努力』(ダイヤモンド社)がある。