サラリーマンにも当てはまる
「高収入≠高資産」のワナ

 毎年、多くの企業で、人事部門が主催となって50代の社員の人たちに対して定年後の準備に向けたセミナーが行われている。「セカンドライフセミナー」といったようなタイトルのものだ。

 筆者も年間数十回は、そういうセミナーで講師を務めている。面白いのは、参加者がグループに分かれて自分たちで定年後の生活に向けて意見を交換するセッションだ。筆者もそういうグループセッションには参加して、お話だけを聞かせてもらうようにしている。

 この場合、大体立場の似た人が同じグループにまとめられることが多い。これは同じ年次でも部長、課長、無役社員と職位に差があるため、同じ程度のクラスでないと話が弾まないだろうという配慮から、そうすることが多いようだ。

 そこで気が付いたことは、社内的な地位の高い人ほど実は資産もあまり多くなく、立場は無役でもしっかりと資産形成をしている人が多いということだ。これも意外な結果である。

 本来であれば位の高い人ほど給料も多いはずなのに、実際は必ずしも地位と資産がパラレルにはなっていないからだ。この理由は一体どうしてなのだろう。答えは前述したことと同様で、収入に比べて支出が多いからだ。でもそうなってしまう理由は、それほど単純なものではない。

 支出には固定費と変動費がある。昨今は、固定費の見直しに注目が集まっている。具体的に言えば、保険の見直しや無駄な会費の支払いといった項目については、改善すべきだという風潮が強まり、着実に改善されつつあるようだ。

 だが、変動費については、まさに人さまざまなようだ。サラリーマンで変動費の支出が多い人の残念な特徴は、以下の二つだ。

(1)付き合いによる支出が多い
(2)使途不明金が多い