コロナ禍から企業が復活するのは一体、いつになるのだろうか。上場100社超、30業界を上回る月次業績データをつぶさに見ると、企業の再起力において明暗がはっきりと分かれている。前年同期と比べた月次業績データの推移を基に、「嵐」から「快晴」まで6つの天気図で各社がいま置かれた状況を明らかにする連載「コロナで明暗!【月次版】業界天気図」。今回は、4〜6月度のホテル編だ。
西武HDが売却を決めたプリンスホテル
「大苦戦」の内情
ホテルの主要3社が発表した4〜6月度の月次業績データは、以下の結果となった。
◯プリンスホテル(西武ホールディングス〈HD〉)の宿泊客数
4月度:前年同月比171.5%(71.5%増)
5月度:同226.4%(126.4%増)
6月度:同204.6%(104.6%増)
◯京王プラザホテル(京王電鉄)の売上高
4月度:前年同月比161.9%(61.9%増)
5月度:同253.9%(153.9%増)
6月度:同204.0%(104.4.%増)
◯東急ホテルズ(東急)の店舗売上高
4月度:前年同月比177.8%(77.8%増)
5月度:同233.3%(133.3%増)
6月度:同194.0%(94.0%増)
プリンスホテルと京王プラザホテルでは、4〜6月の3カ月において連続で増収を記録している。特に、プリンスホテルの6月度の宿泊客数は前年同月比の204.6%(104.6%増)、京王プラザホテルの売上高は204.0%(104.0%)と、ずば抜けている。
しかし、残念ながらホテル各社は依然として苦境に立たされている。実は、各社が発表している月次業績の数字には、データ上のカラクリがある。詳しく解説しよう。
今年2月、財務悪化に苦しむ西武HDは、東京・芝公園にある「ザ・プリンス パークタワー東京」をはじめとした各地のプリンスホテルやゴルフ場など国内31施設の売却を決めた。それも「やむなし」といえるほど、プリンスホテルの経営環境の実態は厳しいものがある。