ところがサザビーズがダイヤモンドを預かっている間に、もともと宝石の所有者であるレクニッツの会社、ジャデル社の“代理人”と名乗る人物が宝石を受け取りにサザビーズに現れました…。その際サザビーズは、「レクニッツから代理人が来る連絡を受けた後だった」と主張しています。

 その数カ月後M&L社は、サザビーズからダイヤモンドをジャデル社=レクニッツの代理人に渡したことを告げられたとのこと。それ以来、ダイヤモンドは行方不明になっているというわけです。

ダイヤモンド※写真はイメージです MICHAEL LOCCISANOGETTY IMAGES

契約書が争点に。
見ず知らずの“代理人”に引き渡した
サザビーズの責任を問う裁判所判断

 2020年にM&Lは、「宝石をいわば質入れしたはずのジャデル社の代理人に、そもそも渡すべきではない」と主張し、サザビーズを訴えました。「CNN」の報道によれば、「レクニッツはサザビーズを推薦していた」とM&Lは主張。「レクニッツがサザビーズの宝石担当の専門家クィグ・ブルーニングと友人だったことが後に判明した」と付け加えています。

 当初、下級裁判所は契約書にジャデル社がM&Lファイナンシャルとの共同保証人として記載されていたため、「サザビーズがジャデル社の代理人に商品を引き渡すのは合理的だ」との判断を下していました。

 しかし2022年7月14日、カリフォルニア州の控訴裁判所はこれに同意せず、M&Lがサザビーズに対して契約違反の訴訟をさらに進めることを認めました。判決によるとすべては契約書の文言によるそうで、サザビーズの幹部であるブルーニングは「“委託者名”の欄に、『Jadelle Jewelry + M&L Financial Inc.』と記載されていた」と主張しています。