「今の環境を離れるべきか?」
迷ったときに見極めるべきポイント

――その時期を乗り越えられたのは、テレビ以外の別の場所に目を向け、YouTubeをはじめて、「自分に向いてるものを見つけた」ことが大きかったのでしょうか。

カジサック:そうですね。やっぱり、環境を変化させることが本当に大事かなと思います。ボクみたいに、芸能界で働いている人だけでなく、一般の会社で働かれているような方もそうじゃないかなと。きっと、「何かが違う」と感じながら、でも、足が1歩出ない、次の環境へ飛び出せない、という人がたくさんいるんじゃないかと思います。

「いくら努力しても報われない環境」から抜け出すたった一つの方法

――「その環境が自分に合っているかどうか」を見極めるのって、すごく難しいと思うんです。自分の努力が足りていないから結果が出ていないのか、それとも、環境が合っていないから結果が出ていないのか。どちらなのかがわからなくて、転職する・新しい環境に1歩踏み出すという選択をとれない人も多いのではないかなと。カジサックさんは、まだ芸能人のYouTube参入が比較的珍しかった時代に、先んじてYouTuber活動をはじめられた。何か「これだ!」とビビッとくるものがあったのでしょうか。

カジサック:ボクの場合、さきほどお話しした「はねトび」の終了、ひな壇での失敗などの経験から、「本当に環境を変えなきゃダメだ」という気持ちは、ずっとあったんです。この世界で、デビューしてからの19年くらい、ずっと、ずーっと背伸びしていたので。まあでも、社会って、そうせずにはいられないところ、あるじゃないですか。やっぱり、誰かに合わせたりとか、ちょっと俯瞰で自分を見て、「ここはこう動いた方がいいな」と計算して、自分を押し殺したりとか。

――はい。よくあると思います。

カジサック:ボクは長年、それを続けちゃってたんですよね。でもいい加減、もう自分を殺すのは嫌だ、我慢するのは嫌だと思った。そう思っていたときに、あるイベントでYouTuberの水溜りボンドさんと、Fischer‘sさんとご一緒させていただいたんです。それまでテレビの世界しか知らなかったボクの中に、「YouTube」という新しい選択肢がやってきた。ものっすごい人気やったんですよ。YouTuberのみなさんに対する、お客さんの歓声と熱量がすごかったんです。「なんや、これ!?」と思って、YouTubeについて調べるようになった。それが大きな転機でしたね。

――当時はまだYouTubeに馴染みがない人も多かったので、そこで新しい環境へ踏み出す決断をするには、かなりの勇気が必要だったんじゃないかと思うのですが。

カジサック:そうですね、そのとき、ボクには二つの選択肢がありました。

「しょうもな。こんなんが人気なんや」が選択肢Aで、「え、何これ。こんな世界があるの? ちょっと調べてみようかな」が選択肢B。このときの究極の二択で、ボクはBを選べたんです。それができたボクを、ボクはちゃんと誇っていいんだなと、いまはそう思いますね。

もし、腐り切ってるときだったら、きっとボクはAを選んでいたと思うんです。「しょうもな。ああ、そうでっか、どうぞどうぞ、よろしくやってください」と、スルーしていたかもしれない。でもそのときにBを選べたのは、まさに、今回の記事のテーマともつながると思うんですが、「努力しているつもりなのに、それが報われない」という気持ちが強かったからこそなんです。きっと、「はねトび」が続いていたら、ボクはAを選んでいた。

――そうか、「努力が結果にならない」というもどかしさが、行動力のモチベーションになっていたんですね。

カジサック:うん。ボクは、何事も、行動を起こしたときに何かが生まれると思っています。ボク自身は19年間も背伸びし続けちゃいましたが、「評価してもらえなくて辛い」という感情を無視せず、「環境を変えるべきサイン」ととらえて次への行動に変える勇気を持つ。それが、報われない環境を抜け出すきっかけになるのかもしれません。

ボクもメンタルが強い方ではないので、今でも「自分との打ち合わせ」は毎日欠かさずしています本当にいま自分は楽しいのか、背伸びをしていないか、問いかけてみる

本の中には、そういったボクの葛藤を、一切隠さず、洗いざらい書いているので、同じような悩みを持つ方にとって、何かヒントになれば嬉しいですね。

梶原雄太(カジサック)
「いくら努力しても報われない環境」から抜け出すたった一つの方法

1980年大阪府岸和田市生まれ。漫才コンビ・キングコングのボケ担当。相方は西野亮廣。吉本興業所属。
「カジサック」として2018年10月1日Youtuberデビュー。
カジサックの部屋に様々なジャンルのゲストの方を招きながら、バラエティに富んだ動画を配信している。登録者は200万人を超える人気YouTuber。
「いくら努力しても報われない環境」から抜け出すたった一つの方法