既存メディアはどう変わるべきなのか

 スクープはこれまで、週刊誌や新聞などメディアの専売特許だった。それが今やネット上のインフルエンサーに取って代わられつつあり、さらに当事者自らが声を上げ、それが当たり前のように受け取られるようになった。

 この時代におけるメディアの役割として求められているのは、当事者が望む社会の変化をどう促していけるかだろう。これまではスクープそのものに価値が置かれていたが、スクープの担い手が大手メディアだけではなくなった今、メディアがつとめるべきは徹底した調査報道であり、ハラスメントや劣悪な労働環境をはらむ構造へのメスだ。

 世論感情に訴えるすべであれば、インフルエンサーの方がたけているようにも見える。スポンサーやしがらみにとらわれた及び腰の報道姿勢では受け手に見抜かれるし、もはや告発系YouTuberに勝てない。

 過去の実績にあぐらをかかず、つぶされることを恐れない報道が求められているのではないか。