hino会見で説明を行う日野自動車の小木曽聡社長 Photo:JIJI

日野自動車の不正が新たに判明
出荷停止で業績の大幅な悪化は必至

 日野自動車は8月2日、エンジン不正に関する緊急記者会見を行った。同社は3月に公表したエンジン不正に対して外部有識者による特別調査委員会を設置していた。2日の会見では特別調査委による報告に続いて、小木曽聡社長が単独で実に2時間半の長丁場に及ぶ説明を行った。

 まず特別調査委の報告は、エンジン試験の不正行為が2003年の規制対応から始まっており、少なくとも2000年代初めにさかのぼる長期的なものだと指摘した。対象車種も判明しただけで09年以降56万7000台に上り、新たな不正が明らかとなった結果、これまで公表していた約12万台から大幅に拡大した。また、16年に国土交通省から求められた排ガスや燃費試験をめぐる実態調査で虚偽報告をしていたことも判明した。

 特別調査委は今回の調査で、不正行為がまん延し少なくとも03年以前から長期にわたって行われていたことは、日野自の「上に物が言えない体質」が背景にあると指摘。縦割りで上層部からの意向を絶対視する企業体質や部門間での連携が不足する企業風土が真因だと言及した。ただ、過去も含めて経営陣の直接的な関与は「認定できなかった」(榊原一夫委員長)とした。

 筆者は長らく日野自を取材してきたが、トラック環境対応で高い技術力を持っているメーカーであると認識してきた。事実、トラックディーゼルエンジンの排ガスクリーン化・燃費向上技術の第一人者が開発トップであったことも知っている。しかし、そのために開発のトップと現場の乖離が大きくなっていったのか。

 日野自はエンジン不正の対象の搭載車種(大・中型トラック、バス)の出荷を止めており、現在国内で出荷できるのは小型トラックだけとなる。このため、今期の日野自の国内販売は約5割減となる見込みで、国内販売の大幅減少に加えリコールなど品質費用の拡大により、業績悪化は予想以上に厳しいものとなりそうだ。