米国は中国とのハイテク覇権競争を国家安全保障上の脅威と位置付けている。だが貿易データを分析したところ、対中ハイテク輸出の審査を主導する商務省がほぼ全ての申請を承認しており、とりわけ重要な技術の輸出が増加していることが分かった。商務省のデータによると、2020年の対中輸出総額1250億ドル(約16兆8000億円)のうち、輸出許可が必要なのは0.5%未満だった。同省はその94%に当たる2652件の対中ハイテク輸出申請を承認した。この数字には、結果不明の申請案件は含まれていない。その結果、米国は半導体、航空宇宙部品、人工知能(AI)など、中国政府の軍事的利益になるような品目の輸出を続けている。商務省は中国との長期的・戦略的な競争を重視しており、輸出規制を巡る判断は国防総省、国務省、エネルギー省と協議の上で下していると説明している。