自分の仕事について真剣に考え過ぎない態度に、新しい名前が付いた。「静かな退職(quiet quitting)」だ。このフレーズを使った動画が投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」で何百万回も再生されている。仕事で期待以上の成果を目指すという考え方を拒否する若いプロフェッショナルたちが、自分の熱意の低さを、辞めることの一形態として表現しているのだ。会社を辞めるわけではない。社員としてとどまりながら仕事以外のことに重点を置く、という考え方だ。投稿された動画には、真面目にワークライフバランスを考える内容もあれば、皮肉を込めたジョークもある。家族を優先して残業を厳格に制限する人もいれば、どうにか生活できるだけの「9時5時」仕事を惰性でこなすのがいいという人もいる。多くの人はキャリアを自分のアイデンティティーから切り離したいと考えている。