今年に入り低迷が続いていた米国の銀行株が、ここに来て息を吹き返している。6月末以降、S&P500種指数はこれまでに13%上昇したが、米銀行業界上位6社のうち5社の株価はそれをアウトパフォームした。この期間のパフォーマンスはモルガン・スタンレーが20%上昇したほか、ゴールドマン・サックス・グループは19%高、ウェルズ・ファーゴは18%高、シティグループとバンク・オブ・アメリカ(バンカメ)は約17%高となった。JPモルガン・チェースだけはS&P500種指数を下回ったが、それでも約9%上昇している。米銀株は2年にわたり上昇基調を維持してきたが、今年1~6月はさまざまな要因を背景に大きく売られていた。ロシアのウクライナ侵攻で商品(コモディティー)市場が様変わりし、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ対策として利上げキャンペーンを打ち出したため、投資家の間で景気後退リスクへの懸念が強まった。先行き不透明感を背景に企業トップは様子見に転じ、新型コロナウイルス禍を通じて銀行株の押し上げ要因となった合併・買収(M&A)ブームも下火になった。