米財政赤字の減少が投資家に大きな追い風をもたらしている。連邦準備制度理事会(FRB)が資産圧縮を進める中で、財務省が資金手当てのための長期債発行を絞ることが可能になっているためだ。FRBが保有資産を削減する量的引き締め(QT)は、長らく市場にくすぶる不安材料だった。QTが市場に打撃を与えることはないと結論づけることは、時期尚早だ。だが、ここ数カ月の株・債券の持ち直しは、QTと市場の関係が一般に考えられている以上に複雑であることを示している。ジェフリーズ債券グループのシニアバイスプレジデント、トーマス・シモンズ氏は「QTとQE(量的緩和)が対称的ではないと認識することが重要だ」と話す。FRBは6月、償還資金の再投資を見送ることで保有資産の圧縮を開始。来月からは、月額の圧縮ペースを倍に引き上げ、国債が最大600億ドル(約8兆2500億円)、住宅ローン担保証券(MBS)は350億ドルとする。
量的引き締めでも米金利低下、思わぬ援軍とは?
有料会員限定
あなたにおすすめ