みずほ証券の2023年3月期第1四半期経常利益(米国合算ベース)は302億円で、その8割強に相当する253億円を米国法人が稼いだ。国内では個人顧客の投資マインドの低迷で苦戦する中、なぜ、米国市場で大きく稼ぐことができたのか。国内個人向け営業で議論となっている、銀行との情報共有を制限する「ファイアウォール」撤廃の是非も含め、浜本吉郎社長に聞いた。(ダイヤモンド編集部 岡田 悟)
足元の楽観論は行き過ぎと警戒するが
不安定な市場の中、米国で大きく稼いだ
――年明け以降、不安定なマーケット環境が続いています。証券会社の業績悪化が相次ぎ、みずほ証券も2023年3月期第1四半期の経常利益が前年同期比22.5%減の302億円でした。ただ、野村ホールディングスは税前利益が同期85%減であり、みずほ証券の減益幅は他社より小さめです。
マーケット環境は、日経平均などが上昇し始め、小康状態になってきています。これまでの不安定な状況は、主に米国の金利上昇によって、グロース銘柄など世界経済の成長ドライバーだった株式の価格が調整されたからだと思います。利上げという要素が圧倒的に大きいでしょう。
ただ私自身は、足元の楽観的な見方は少し行き過ぎている気がします。お客さまに対し、「これで株価が底入れしました」「これからは強気にいきましょう」と呼びかける段階ではない。米国がこの先利下げに転じるとの観測がありますが、インフレの根は深く、利下げが見送られる可能性もあると思います。
みずほ証券の23年3月期第1四半期決算は、こうした市況の中でまずまずといえるでしょう。
――米国みずほ証券は、全体の経常利益302億円のうち、253億円を稼ぎ出しました。米国の主にマーケット部門の好調さが要因です。みずほ証券の米国の強みはどういったところにありますか。