3メガバンク最終決戦#2Photo:JIJI

ここ数年、メガバンクグループではスタートアップ投融資の機運が急速に高まっている。中でも、早くから前のめりの体制を築いているのがみずほ銀行だ。メルカリ、マネーフォワード、BASE……。実はこれら“メガベンチャー”を創業当初から支えているのも同行である。昨年には、銀行エリートの象徴だった「ナンバー部」(大企業営業担当部署)の解体などを実行する裏で、メガベンチャーを囲い込むための虎の子部署も設立した。特集『3メガバンク最終決戦!』(全9回)の#2では、みずほが考えるスタートアップ支援のうまみについて探った。(ダイヤモンド編集部 新井美江子)

みずほ銀本店でひっそり開催されている
「トップ会談」とは?

 7月5日。東京・大手町のみずほ銀行本店に、いかめしい建物とはミスマッチな雰囲気をまとう経営者、約25人が次々に訪れた。上場すれば公開規模(公開株式数×発行価格)1000億円台も狙える“メガベンチャー”の経営者たちだ。

 目的は、加藤勝彦・みずほ銀頭取や浜本吉郎・みずほ証券社長など、みずほグループの6人のトップ層との情報交換会への参加。2時間20分にわたり、みっちり議論を交わしたという。

 みずほは、こうしたスタートアップとのトップ同士の会談を、一昨年から年3回ペースで開催している。主催するのはみずほ内で約10年にわたりスタートアップ支援をけん引してきた大櫃直人・みずほ銀常務執行役員だ。

 有望なスタートアップにみずほとの関係や、スタートアップ同士のつながりを強めてもらう意図があるのは言うまでもない。だがみずほにおいても、経営層のスタートアップへの理解を深めることで、「適切な」投融資判断を確実に下せる体制を整えるもくろみがある。

 今のスタートアップは、技術の進歩などをフックにして爆発的に成長。一昔前の銀行の常識では考えられないほど速いスピードで、大型の資金を必要とするようになるからだ。その肝心なときに、「スタートアップの実態」を知らないが故に投融資に及び腰になる事態だけは避けたいという思いがある。

 実はここ数年、メガバンクグループでは、そんなスタートアップ投融資の機運が急速に高まっている。詳しくは後述するが、スタートアップ投融資は収益性が高いのはもちろん、スタートアップへのつてを持つことで大企業との取引拡大も望める、“おいしい”ビジネスなのだ。

 みずほはとりわけ前のめりだ。みずほ証券の2022年3月期のIPO(新規株式公開)の主幹事件数は、国内首位だ。みずほ銀では昨年5月、銀行エリートの象徴とされた「ナンバー部」(大企業営業担当部署)の解体など、営業組織を再編成する中で「イノベーション企業法人部」を新設した。

「普通は支店の大反対に遭ってつくれない画期的な部だ」。大櫃常務執行役員はそう満足げに語るが、みずほ銀はスタートアップ支援にどんな“うまみ”を見いだしているのか。次ページでは、みずほ銀が着々と狙う有望スタートアップの囲い込み策を追う。