内紛はさらにエスカレート
引き金となった株式会社の設立

 さらに6月以降、神真都Qの“内部崩壊”を加速させる出来事が起こった。

 きっかけは、6月9日に設立された「やまとCOMPANY」という株式会社だ。代表は、倉岡容疑者が逮捕されたため、もう一人のリーダーだった「甲兄」こと村井大介氏が務めた。
 
 しかし、この会社設立によって内部で紛争が起きたという。
 
「神真都Qはこれまで、現在の金融システムは悪の中枢であるディープステートが作ったものとして批判してきました。それなのに、なぜ“株式会社”という現代の金融システムにのっとった会社を設立するのか、疑問を抱く人が多数出てきたのです」(雨宮氏)
 
 さらに、設立した会社の資本金1000万円やこれまで集めた寄付金について、会計報告が十分でないという指摘も聞かれたという。その延長で、あくまで噂レベルだが、村井氏と他の幹部メンバーがこの団体内で女性と交際(あるいは結婚)し、その結婚資金や新居資金に「神真都Qの寄付金が流用されているのでは」という疑惑もささやかれたという。
 
 真偽のほどは別として、こういった疑惑や不信感のある噂が出てくる時点で、団体の統制は失われていると言えるだろう。
 
「この後、神真都Qの中心メンバーが次々に退会する事態となります。辞める際に団体を批判するブログを残す人もいました。さらに、村井氏は7月19日付で倉岡容疑者を除く他の幹部を解任しました」(雨宮氏)
 
 以上が、春から夏にかけての神真都Qの動きだ。前回記事では、各地で村おこしを始めている動きにも触れたが、これらも続報は聞かれなくなった。

参院選で注目された参政党
堂々と陰謀論を主張する候補者も

 神真都Qの勢力は弱まったが、陰謀論とのつながりを指摘される団体はほかにもある。たとえば、参院選で話題になった参政党だ。
 
 実際、参政党の候補者や支援者の街宣運動では、陰謀論といっても過言ではない主張が多々あったようだ。
 
 たとえば同党の比例候補者だった赤尾由美氏は、7月9日に芝公園で行われた参政党のイベント(※選挙期間最終日のいわゆる“マイク納め”)にて、次のような発言をしている。
 
「このコロナ禍はプランされていた、プランデミックだったというのが言われているんです!」
「国民を恐怖でコントロールする。経済を崩壊させる」
「次はサル痘、また来年はこのウイルスだと、何かシナリオを用意しているんでしょう!」
 
 演説の模様は、聴衆が撮ったYouTubeの動画からも見ることができる。なお、マイク納め当日の詳しいレポートは雨宮氏のnote(「参政党!」コールに1万人以上が熱狂~参政党の熱い夜~(2022.7.9) )に書かれている。
 
 そして雨宮氏は、さらなる問題として、参政党がユダヤ人差別につながりかねない陰謀論的な主張を行っている点を挙げる。
 
 同党による『参政党Q&Aブック』(青林堂)では、世界を支配するグローバル勢力として「ユダヤ系の国際金融資本を中心とする複数の組織」が挙げられている。そして、その勢力についてこんな一文が書かれているという。

<日本は「あの勢力(雨宮氏注:国際ユダヤ金融資本)」に数百年前から標的にされ続けてきました。私たちが歴史で学んだ出来事の多くの背後には「あの勢力」が存在していたのです。>(『参政党Q&Aブック 基礎編』から)

 雨宮氏は「参政党の主張の中に、こういった陰謀論が含まれている事実をきちんと伝えなければいけません」と話す。特にこの党は10代、20代の支持者が多く、その深奥にある陰謀論の危うさに気づかず信じ込んでいる人もいるだろう。