テスラのスーパーチャージャーPhoto:123RF

米中対立が激化する中、米テスラは上手く共産党政権との利害調整を行って中国での生産・輸出を増やしている。上海ギガファクトリーにおける生産能力は米国を上回り、年間100万台超に引き上げようとしている。一方、わが国ではトヨタ自動車を筆頭に、半導体不足などで自動車生産が停滞。わが国の自動車メーカーは電動化を加速し、新しいサプライチェーン整備に集中して取り組む必要がある。(多摩大学特別招聘教授 真壁昭夫)

共産党政権の支援を追い風に
米テスラが中国での生産・輸出を増やしている

 2022年1~6月期、世界の新車販売台数で米国のテスラと中国の比亜迪(BYD)の電気自動車(EV)販売台数が増加した。両社の販売台数はマツダとスバルを上回った。現在、テスラとBYDは中国のEV生産をけん引する主力企業に位置付けられる。

 特に注目すべきはテスラだ。共産党政権の支援を追い風に、テスラは中国での生産・輸出を増やしている。米中対立が激化する中、テスラはうまく共産党政権との利害調整を行っているようだ。

 現下の中国経済は厳しさを増している。輸出を促進し個人消費を支えるため、共産党政権はEVの販売促進策を強化する必要がある。今後、EVメーカーや車載バッテリー世界最大手のCATLなどに対する補助金が、強化される可能性が高い。

 それは、テスラが中国でさらに成長を目指す追い風になるはずだ。わが国の自動車メーカーは電動化を加速し、新しいサプライチェーン整備に集中して取り組む必要がある。