ホンダや日産の主戦場は
軽自動車のEVか?
日本における日産自動車やホンダのEVの敵は、トヨタ自動車ではないのではないだろうか。4月12日にホンダがEVに8兆円を投資すると発表、翌月の5月20日、日産と三菱が軽EVを発表した。ホンダは軽とは限定していないものの、日本のEVの主戦場は軽自動車になりそうだと思われ、それはわりと合理的な気がする。
ホンダがEVに8兆円を投資するとの発表を受けて、多くのメディアが「ホンダは内燃機関を捨ててEVにシフトする」という趣旨の報道を行ったが、注目すべきは発表後のQ&Aでのホンダの回答だ。
ホンダは内燃機関の今後について尋ねられると、「今後もHVは進化させる」と言っており、内燃機関の開発からすべて撤退するとは言っていない。さらに、「たとえばアメリカ市場では、EVを使う環境が整っているカリフォルニアなどではEVでもビジネスができるが、中部ではガソリン車が必要になる」と、内燃機関の必要性も認めている。
ホンダがすでに発売しているEV「Honda e」は、コンパクトに見えるが意外と大きく3ナンバー車であるが、デザインは同社の軽自動車の「N One」を彷彿とさせる。ホンダは欧米市場では、「Acura」も含めてミッドサイズカーが現在でも主力商品であるが、日本での販売はほとんど軽自動車メーカーといってもいいほど、「N One」や「N Box」、「N WGN」などが中心になっている。
ホンダはもともと軽自動車の開発を系列の企業に外部委託していたが、国内での軽自動車の開発を本社に戻し、本腰を入れてから軽自動車でヒットを飛ばし続けている。そう考えると、ホンダも日本では軽自動車を中心に、EV展開するのではないだろうか。
日産が発売した軽EVの「サクラ」は、搭載バッテリーが20kWh、航続距離が満充電で180kmほどという。筆者は国内でも海外でもBEVだけではCO2削減に寄与できないし、すべての車をEVに置き換えることは不可能だとこれまでも述べてきたが、「サクラ」の20kWhというバッテリー容量は、よく考えられた街乗りカーといえる。それはBEVの課題の1つである充電時間の問題とも関係する。