世の中のさまざまなしがらみから抜け出して「幸せな人生」を歩むために必要なものはなんだろう?
それは、「自信」だ。『幸せな自信の育て方 フランスの高校生が熱狂する「自分を好きになる」授業』(シャルル・ぺパン著、児島修訳)では、フランスの高校生から大絶賛される哲学教師が、「本当の自信の育て方」を教えてくれる。本書からその一部を特別に紹介しよう。

【自信がない人へ】フランス人が学校で学んでいる自己肯定感の秘密Photo: Adobe Stock

「努力すること」は必ず成功できる

 若いビジネスパーソンが、仕事の責任範囲を広げてもらうために上司に面談を求める。若い映画監督が、自分の作品を観てもらうために尊敬する監督の自宅のドアをノックする。彼らは勇気を持って、大きな一歩を踏み出した。ただし私たちは、こうした大胆な行動をとる人たちの勇気を誤解してはいけない。

 彼らは、「自分」を信じていたから大胆な行動ができたのではない。「行動」することそのものを信じていたから、大胆に行動できたのだ。

 失敗したり、期待していたほど成功できなかったりしても、努力することそのものには成功できる。

挑戦しないために自信を失う人々

 私は毎日のように、生徒たちが「挑戦しないために自信を失う」様子を目にしている。

 私は折に触れて、生徒たちにかなり難しいテーマについて即興の答えを求める。そんなときに尻込みせずに答えようとする生徒は、たとえそのときはうまくしゃべれなくても、次第に自信をつけるようになる。

 彼らは他の生徒から見れば、「逃げずに挑戦した人、スタートを切った人」に見える。それだけで、すでに誇れることだ。

 彼らは、「思い切って挑戦すれば、新しいアイデアも生まれやすくなるし、自分でも予期していなかった直感がひらめくこともある」ことを身をもって体験できる。質問に正しく答えられなくても、答えようとしたことで充実感が得られる。

 一方、私の問いかけに答えようとしない生徒は、自信を育む機会を逃している。挑戦せず、現実世界と向き合わないことで、自分の殻を破るチャンスも得られなくなる。これは悪循環だ。

 行動をしないために、行動の結果としてもたらされる解放感を味わえず、不安も増していくばかりだ。

「とにかく始める」ことが大切

 行動がもたらすメリットを理解すれば、「行動とは単なる思考の結果である」という考えが正しいとは思わなくなる。

 現代の文明は、直接的な行動よりも知性や思考を重視するプラトン哲学や西洋合理主義の大きな影響を受けている。そのため、行動の持つ力が軽視されがちだ。

 たしかに、行動する前に思考しなければならないのは事実だ。しかしだからといって、「行動は思考より価値が低い」ことにはならない。

 行動には価値がある。思考だけでは、不安は払拭できない。だからこそ、私たちは行動することそのものに対して自信が持てるのだ。

 行動とは、綿密に計画されたプロジェクトを実践することではない。真の行動とは、十分な自信がない状態の自分と、予測のできない世界とがぶつかり合うことだ。つまり行動の本質を、それに先立つ思考の中に見出すことはできない。

[本記事は『幸せな自信の育て方』(シャルル・ぺパン著、児島修訳)を抜粋、編集して掲載しています]

『幸せな自信の育て方』は以下に当てはまる人におすすめの1冊です。ぜひチェックしてみてくださいね。
●「自己肯定感」が低い人
●いつも漠然とした「不安」を感じている人
●自分で「決断」するのが苦手な人