読んだ人を行動させる文章術!

――きぐちさんは18年間実践されてきているだけあって、どの項目の解説も、具体的で説得力がありました。
たとえば、第3章の「『狙ってはいけないジャンル』と『おススメジャンル』」で、競合の企業サイトが多くて広告主がつきづらいジャンルとして医療や健康食品、政治経済、ペット、ファッションなどが挙げられていて、なるほど~と思わされますね。
ほかにも、第4章中の「思わずクリックしたくなる『記事タイトルの作り方』6選」として、クリックしたくなる記事タイトルには数字を入れる、27文字以内がよい、など、それぞれ解説もあって腹落ちしました。

中村 そうですよね。第4章「読んだ人を行動させる『最強のブログ文章術』」は全体的に、非常に具体的なアドバイスに満ちていて、反響が大きかったです。きぐちさんが書く文章は本当によみやすいです。18年間の実践を通して体得してきたノウハウが、この4章には詰まっています。

「流し読み」を前提として考え、わかりやすい表現、見出し、箇条書き、装飾、画像をしっかり使い、読むストレスを最大限なくす

 これは4章に出てくる一文ですが、原稿も「読者の読むストレスをなくす」が徹底されていて、編集者としても大変勉強になりました。

――そうなんですか! すごく読みやすかったです。さすがプロですね。ほかに反響が大きかったのは、どのあたりですか?

中村 第1章「僕がブログで5億円稼ぐまで」の苦労話のほか、第6章「アクセスを劇的に伸ばす『有益コンテンツの作り方』」や、第7章「ブログで稼ぐための『収益爆増計画』」もよかった、といったお声をTwitterなどでいただいています。あとは「やる気が出ました」というお声もよく聞きます。

「競合が弱い」「ずらし」のキーワード術

――目次の小項目も、非常に具体的で数字がたくさん散りばめてあって、やる気が出るというご意見に納得です。一つ一つクリアしていきたくなるし、索引的な使い方もできて便利です。目次の項目の見せ方は、中村さんのお得意の部分だと思いますが。

中村 そこは、いろいろ工夫するうえで、きぐちさんにもご了承いただいて変えた部分があります。たとえば第6章「アクセスを劇的に伸ばす『有益コンテンツの作り方』」も、当初は3つの項目だったものを9つに分割させてもらいました。最初の段階では、

第6章 ブログのアクセスを劇的に伸ばす「コンテンツの作り方」
①最短でアクセスを手に入れるための「キーワードの狙い方」
②拡散されやすい「有益なコンテンツ」を作る方法
③安定したアクセスが増える「ロングテールコンテンツ」の作り方

 こんな形だったんです。でも、本文中にあった「競合が弱いキーワード」「ずらしキーワード」といった魅力的な言葉が、当初の分け方では見出しに出てこず、非常にもったいないと思いました。そこで、「項目を分割し、内容の面白さを目次に反映したい」と、きぐちさんにご相談しました。

 きぐちさんも当初は「文章の流れが悪くならないか?」と心配されていましたが、「初心者の方向けに体系化された感じが出るし、中・上級者の方も読後の満足度が上がるはず」とお伝えし、納得していただけました。その後、きぐちさんと相談しながら、項目の分割と精査を始めていき、最終的には下記の形になりました。

第6章 アクセスを劇的に伸ばす「有益コンテンツの作り方」
①アクセスを増やす「スモールキーワード」攻略法
②「競合が弱いキーワードを狙う」アクセスアップにつながるキーワードの狙い方①
③「サジェストキーワードを狙う」アクセスアップにつながるキーワードの狙い方②
④「ずらしキーワードを狙う」アクセスアップにつながるキーワードの狙い方③
⑤キーワード選定で気を付けたい3つの注意点
⑥拡散されやすい「有益コンテンツ」を作る4つのアプローチ
⑦3年間収益ゼロの要因、「負のスパイラル」に注意!
⑧アクセスを確実に増やす「ロングテール」戦略
⑨コンテンツは2000~3000字が1つの目安

カバーで伝えたかったこと

――この本の特徴としてもう1つ伺うと、カバーも「ガッツリ稼ぎまっせ」というグイグイくる感じがなく(笑)、初心者の方も手に取りやすそうです。

中村 「とにかく稼げます!」とか「裏技を教えます!」みたいな感じは出したくないと思っていました。大事にしたかったのは「著者の18年間の血と汗と涙」というニュアンスで、そこに「5億円」をどう絡めるかで迷っていました。装丁デザイナーの三森健太さんに相談したところ、「5億円玉とかどうでしょう? 著者がその5億円玉を嬉しそうに掲げているイラストが入ると、イメージにも合うんじゃないでしょうか?」という提案をいただき、すごくいいと思いました。そこで、まず三森さんにカバーラフをお作りいただきました(下図)。

ブログは本当にオワコン?「5億円稼ぐまでの血と汗と涙」が本になるまで最初に上がってきた時点のカバーラフ

「むちゃくちゃいい! 書店でもすごく目立ちそう!」と思い、本文イラストをお描きいただいていた山中正大さんにご相談しました。最初に上がってきたラフ(下記画像)は、「本物の硬貨」感があって、ものすごくいいなと思いました。縁のギザギザとか、令和四年とか、このあたりの作り込みには本当に感動しました。

ブログは本当にオワコン?「5億円稼ぐまでの血と汗と涙」が本になるまで「本物の硬貨」感がある…最初の5億円玉イラストのラフ(イラスト:山中正大)

 でも今回の場合、イラストがタイトルの一部になっており、「500000000円」が「5億円」とすぐ読めるかどうかが心配でした。その旨を山中さんにお伝えし、いろいろご相談した結果、現在の形になりました。

ブログは本当にオワコン?「5億円稼ぐまでの血と汗と涙」が本になるまで「5億円」が、ぱっと見てわかりやすく!

 カバー作りは総力戦です。「本のコンセプトをどう表現するか、著者のコンテンツをどう伝えるか」を、編集者、デザイナーさん、イラストレーターさんで知恵を出し合い、形にしていきます。

「5億円玉」というコンセプトを考えてくださった三森さん、その「5億円玉」を異常なクオリティーで仕上げてくださった山中さん。お二人がいなければ、このカバーは完成しませんでした。深く感謝しています。

 このジャンルの本は、「すぐ稼げるノウハウ」を全面に押し出したデザインが多いんですよね。著者の人間性に寄せたデザインが少ないぶん、うまく差別化もできました。デザインのポイントになっている5億円玉に、艶消しの金色を使ったのも、ギラギラしすぎなくてよかったなと思っています。

ブログは本当にオワコン?「5億円稼ぐまでの血と汗と涙」が本になるまで