写真:稲盛和夫氏8月24日に老衰のため90歳で亡くなった稲盛和夫氏(2011年撮影) Photo:AFP=JIJI

稲盛和夫氏の死去に際して、その功績を振り返る記事は今もやまない。稲盛氏の経営塾で学んだ経営者は数多く、また多くのビジネスパーソンにとって教訓となる同氏の経営哲学には事欠かないからだ。そこで今回は、「稲盛式のコストカット」についてご紹介したい。(イトモス研究所所長 小倉健一)

稲盛流・経営の12カ条の一つに
「売上最大、経費最小」がある

「経営の神様」と呼ばれた稲盛和夫氏が亡くなった。前職は経済誌「プレジデント」の編集部にいて、稲盛氏の担当だっただけに非常に悲しい。

 稲盛氏のすごさは、これからいろいろな人から語られることと思うが、一つ面白く感じたのは、ある中国人経営者のこんな言葉だった。

「稲盛さんは、世界を代表する500の会社を選ぶ『フォーチュン500』にランクインしていた、京セラ、KDDIという二つの会社を創業した。さらには、同じくフォーチュン500にランクインしていたことのある日本航空を救った。つまり、世界を代表する三つの会社の創業、再生をしたということ」

 京セラは、セラミックのメーカーだ。KDDIは、電話や通信の会社。そして日本航空は、航空会社だ。まったく違う三つの会社を見事に経営してみせた稲盛氏。戦後を代表する経営者の1人といって過言ではない。

 そんな稲盛氏だが、自身が掲げた経営の12カ条に「売上最大、経費最小」と言う項目がある。経営というのは難しいものだと思われているが、簡単にいってしまえば、売り上げを増やし、経費を抑えていけば、利益はついてくるということだ。

 今回は、現在の京セラにも根付く「稲盛式のコストカット」について述べたい。