答えのない時代に、メモが最強の武器になる――。
そう言い切るのは日本一ノートを売る会社コクヨで働く下地寛也氏だ。トップ社員である彼自身が、コクヨ社内はもちろん、社外でも最前線で働くクリエイターやビジネスパーソンにインタビューを重ねてきた。そこから見えてきたことは、
◆トップクラスの人達は、メモを取り続けていること
◆そして、頭の中で考えるのではなく、書きながら考えていること
だった。
この連載では、『考える人のメモの技術』の著者である下地氏が、実際に集めたメモをベースに、あらゆる問題解決に効くメモ術を紹介していく。(初出:2022年9月7日)
手書きメモ vs デジタルメモ
最近は、パソコンやスマホでメモする人も増えています。
しかし考える力を高めたいのであれば、基本的には手書きのメモの方がいいと思います。
手書きが優れている点は次の4つでしょう。
① 自由度
② 一覧性
③ 記憶定着
④ 創造性
それぞれのメリットを解説しましょう。
手書きは自由度、一覧性、記憶定着で優れている
① 自由度(書き方の自由度が高い)
手書きだと、大切なことは大きめに書いたり、下線を引いたり、グルグルとキーワードを囲んだりというメリハリを簡単につけられます。
デジタルでもできなくはないですが、スピード感が違いますよね。ちょっとした図を描こうとするときも、手書きであればササッとできます。
② 一覧性(多くの情報を一度に見られる)
デジタルは、画面の解像度の関係で細かい文字が見にくく、一覧で見られる情報量が限られます。
紙の場合は、情報を一覧で見ることがしやすく、これから考えることを俯瞰的に把握することがしやすいわけです。
③ 記憶定着(手で書くことで記憶に残る)
米国プリンストン大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究によると、手書きとキーボード入力でメモをとる人を比較したところ、手書きの人の方が記憶が定着しやすく、良い成績を収めたということです。
実際に、手書きだと文字の強弱や線を引いたりできるので、書いたことをビジュアル的に思い出しやすいでしょう。
結果、手書きは創造性を高めやすい
④ 創造性(脳が活性化し、発想しやすくなる)
創造という行為は、まだ言語化されていないモヤモヤした概念を言葉にしたり、キーワードの関係性をつないで自分の考えていることを図で考えたりします。
スティーブ・ジョブズがコネクティング・ザ・ドット(点と点をつなぐ)と言っているように、一見無関係に見える過去の経験や知識を書き出し、つなぐことこそクリエイティブなわけですので、どうしたって手書きの方がスムーズです。
もちろんデジタルには、情報の検索性や再活用のしやすさなどメリットもあります。また、タブレットにタッチペンを使ってメモするのであれば、手書きと同じような効果も得られるでしょう。
それぞれの利点と欠点を理解したうえで、使い分けるようにしてみてください。
『考える人のメモの技術』では、今日から使えるメモの技術をたくさん紹介しています。ぜひチェックしてみてください。
(本原稿は、下地寛也著『考える人のメモの技術』から一部抜粋・改変したものです)