世界中が大絶賛する最強のノート術『バレットジャーナル』。本書の手法は、アメリカのデジタルプロダクト・デザイナーであるライダー・キャロル氏が発案。幼少期に注意欠陥障害(ADD)の診断を受け、日常生活を送ることに苦労した経験から、頭のなかを常に整理するために考え出した画期的メソッドだ。「人生が激変した!」と効果を実感する人が世界中で続出している。1冊のノートと1本のペンがあれば誰でもはじめられ、日々のあらゆる悩みを解決できるのが特徴だ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集して、頭のなかを整理する方法を紹介していく。(構成:長沼良和)
「つながった世界」から「つながらない世界」へ
バレットジャーナルのような手書きのノート術を紹介すると、「IT全盛のこの時代に手書きにこだわる必要があるのか?」という疑問が浮かぶかもしれない。
たしかに、テクノロジーによって世界は確実に便利になった。
最近では、ほとんどの人がスマートフォンのようなデジタル機器を肌身離さず持ち歩いている。
ところが、デジタル機器を頻繁に使っていると、集中力がだんだん続かなくなってくるという調査結果がある。
少し古いデータだが2016年の調査では、アメリカ人は毎日デジタル画面の前で平均11時間近く過ごしているという。最近ではもっと増えているかもしれない。
ともかく、人々が「起きている時間の大半で画面を見ている」ことは間違いないようだ。
この点において、紙のノートはインターネットとつながっているわけではないので、当然メールが届いて邪魔されることもない。
ノートの上に自分だけの空間を確保できるから、気を散らすことなく、自分自身と深い対話ができる。
これが、手書きをすべき理由のひとつである。
紙に書くとアイデアがたくさん生まれる理由
手書きという触覚的な動きは、キーボードで文字を打つよりも脳を刺激する。
文字を書くことで「脳の複数の領域を同時に活性化」するため、学んだことを深いレベルで脳に刻み込める。
その結果、手書きは指先でタップするよりも、頭のなかに情報を長く保存できることになる。
紙のノートにペンを走らせることで、外の世界と自分の内面をつなぎ、自由に思考を映し出せるのである。
「手書き」ゆえの”制限”が思考を深める
手書きするよりも、キーボードで入力した方が速く書けることは間違いない。
だが、「考えを整理する」という点では、時間をかけて手書きする方が、キーボード入力に比べて有効だ。
たとえば、ミーティングや打ち合わせで話した内容を記録する際に、手書きでは話すスピードについていけないので、一字一句正確に書き写すことはできない。
そのため、文字数を極力減らして要点をまとめて書かざるを得なくなる。
この「まとめる作業」が、理解を深める働きをする。
文字を書く作業には時間がかかるからこそ、文字を認識して理解する能力を高めてくれるのである。
キーボードで入力した文章を読んでいると、目が字面を上滑りすることがよくある。
しかし、自分で紙に書いた文字を読む際には、書いたときの情景が自然と思い出されて深く理解できる。
これは、誰でも経験したことがあるのではないだろうか。
「ゆっくり考える時間」を取り戻す
手書きすることには、「精神的な治癒効果」があると言われている。
紙に思いつくことをひたすら書き続けることで、心がスッキリして整ってくるのを実感したことがある人もいるかもしれない。
また、日記を書くことは、トラウマや精神疾患に苦しむ人の治療として効果的であると証明されているという。
真の効率の良さとは、スピードが速いことではない。
本当に大切なことを選び出し、自分の言葉で表現できるようになることである。
バレットジャーナルはこのためにあるといっても過言ではない。