大手石油元売り3社の2022年4~6月期の決算は、売上高と最終利益が同期で過去最高となった。石油流通が専門の筆者がよく聞かれる疑問点は主に三つ。「補助金を投入しているのに最高益、中身はどうなっているのか」「補助金はきちんと小売価格に反映されているのか」「石油業界は今後も高収益を維持するのか」である。それぞれ解説する。(桃山学院大学教授 小嶌正稔)
補助金を入れているのに最高益
その中身はどうなっている?
石油元売り大手の2022年4~6月期決算は、ENEOSホールディングス(HD)の最終利益(連結)が2213億円(対前年同期比2.3倍)、出光興産が同1793億円(同2倍)、コスモエネルギーホールディングス(HD)が同775億円(同2.8倍)だった。
3社合計で売上高6兆4221億円、営業利益6909億円、純利益4780億円。営業利益には原油高による評価益の4401億円が含まれているため、実質的には2508億円まで圧縮され、さらにセグメント別に石油製品だけだと、営業利益は1230億円となる(在庫評価益除く、3社合計)。
業界の淘汰再編、合従連衡が進み3社体制になったのが17年。以降6年間の石油製品の営業利益を見ると、やはり今4~6月期決算はぶっちぎりの最高益であり、対前年比2.7倍に膨らんだ(下記図表参照)。
高騰するガソリン価格を抑えるため、政府は1月末から通称「ガソリン補助金」を実施してきた。この最高益は、予算規模1兆円もの莫大な補助金が投入されているからだと思う人もいるだろう。補助金の仕組みを端的に言うと、給付先は石油元売りで、給付を前提に卸価格を抑え、結果として小売価格が抑制されるというスキームだ。