資源エネルギー庁が7月末、全国のガソリンスタンド数の集計を更新し、28年連続で減少していることがわかった。減少の真相とガソリンスタンドが生き残る道を石油流通の専門家が解説する。(桃山学院大学教授 小嶌正稔)
ヒントはイーロン・マスクのツイッター
日本のGSが「消滅」の運命を辿りそうなワケ
ガソリンスタンド(GS)の減少が止まらない。資源エネルギー庁は7月末、揮発油販売業者数および給油所数の取りまとめを更新。2021年度末時点のガソリン販売業者数とGS数が28年連続で減少したことが明らかになった。
GS減少が止まらない原因は「廃業が多いから」と思われがちだ。しかし、真相は異なる。ヒントは、米テスラCEOのイーロン・マスク氏がツイッターでつぶやいたことにある。
マスク氏は以前、「当たり前のことを言うようかもしれないが、出生率が死亡率を上回るような変化がない限り、日本はいずれ存在しなくなるだろう」と述べている。テスラのCEOが日本の人口減少を鋭く指摘したことで話題になったが、実はGSも同様に「消滅」の運命をたどりそうなのだ。
次ページからは、ガソリン販売のさまざまな真実を数字データや他業種との比較であぶり出し、GS減少の真相に迫る。規制緩和と規制強化を繰り返してきた業界の歴史を振り返るとともに、今あるGSが生き残る道を思案してみたい。