8月10日、第2次岸田政権発足後で初の内閣改造が行われた。岸田首相は心機一転し、政策断行にまい進する意向だという。重要政策の一つであるエネルギー政策では、ガソリン価格が高止まりする中、脱炭素の流れでガソリンの需要減少は加速していく。しかし、地方のガソリンスタンドの在り方については変革が起きず、さまざまな矛盾を抱えている。(桃山学院大学教授 小嶌正稔)
地方のガソリンスタンド不足どう解決すべき?
施設維持より大事な視点とは
ガソリン価格が高止まりする中、資源エネルギー庁が7月末、全国のガソリンスタンド数の集計を更新し、28年連続で減少していることが明らかになった。減少の真相とガソリンスタンドが生き残る道については、『ガソリンスタンド「28年連続減少」の意外な真相とは?生き残り策を徹底解説』で書いた通りだ。
政府は2050年カーボンニュートラルの目標実現に向け、「エネルギー供給構造の変革だけでなく、産業構造や国民の暮らし、地域の在り方全般にわたる経済社会全体の大変革に取り組みます」という(首相官邸ホームページより抜粋)。その一つに、自動車の電動化推進があり、「2035年までに新車販売で電動車100%を実現する」と示している。
こうした方針によって、ハイブリッド車から電気自動車(EV)の普及促進に重点が移り、ガソリンの需要減少は加速していく。しかし、地域のガソリンスタンド(GS)の在り方に対しては大変革に取り組んでいるどころか、大矛盾があると筆者は考える。
それは、ずばりGS過疎地の大矛盾である。GS過疎地とはGSが3カ所以下の市町村で、2010年10月末時点で229市町村あった。それが21年3月31日時点で、343市町村に増えている。
とはいえ筆者は、GS過疎地が増えたことを問題提起したいわけではない。GS過疎地への対応が、市町村のトップと地域住民の意向にギャップがあったり、大手マスコミの報道の仕方がちぐはぐだったりと、さまざまな矛盾を抱えていることが問題だと考えている。
次ページからは、GS過疎地の実態と、それを取り巻く大矛盾を詳しく解説する。